2003年に放送が開始された『明日のナージャ』は、今年20周年をむかえた。『おジャ魔女どれみ』シリーズが少女たちを夢中にさせた“日曜日朝8時30分枠”で放送がはじまった本作だが、低視聴率から抜け出すことができず、約1年で放送終了となっている。
ヨーロッパとエジプトを舞台に描かれた本作は、孤児院で育った主人公のナージャ・アップルフィールドが生き別れの母親を探す旅がメインストーリー。今回はそんな『明日のナージャ』について、なぜ流行しなかったのかを考察していこう。
■ターゲット層の少女たちには物語がヘビーすぎた?
『明日のナージャ』が放送されたのは、前番組『おジャ魔女どれみ』シリーズが爆発的なヒットを記録し、現在では『プリキュア』シリーズが放送されている枠だ。世の少女たちがこぞってテレビの前に集まるこの時間帯。メインターゲットは幼稚園から小学生までの幼い少女たちである。
『おジャ魔女どれみ』のように女の子が変身する作品は、幼い彼女たちの心をくすぐった。魔法のアイテムがたくさん登場し、一人前の魔女になるために奮闘する物語もワクワクする内容だ。
しかし後番組である『明日のナージャ』は、孤児院育ちの主人公が母親を探すという少々“ヘビー”な物語の作品である。数々の名作をもつ“世界名作劇場”のような設定で描かれる物語は、幼い少女にはシリアスすぎたのかもしれない。
また現代を生きる少女たちにとって、“孤児院育ち”という設定も共感しにくかったのではないかと思う。かくいう筆者も、『明日のナージャ』をリアルタイムで見ていた世代だが、どこか自分とはほど遠い世界の話を見ている気分だったのを覚えている。
■途中から登場する“いじめっ子キャラ”がひどすぎる!?
本作といえば、ナージャが受けるひどい“いじめ”もまた少女たちを苦しめた。ナージャと同じ孤児院で育ったローズマリーは、途中から主要キャラとして描かれるようになる。彼女はプリンセスになることを夢見ており、外見としてはナージャによく似た特徴をもつ美少女だ。
孤児院時代はナージャと仲が良かったローズマリー。しかし、美しく着飾りかっこいい男の子を夢中にさせているナージャの姿を見てから、彼女の態度は一変してしまうのだ。
プリンセスに憧れるローズマリーにとって、成長してからの自分が置かれた“メイド”という立場は耐えがたく、よりナージャがうらやましく思えたのだろう。かつて仲が良かったからこそ、裏切られたと思い込んでしまった面もあるようだ。以降ローズマリーはナージャを苦しめ、彼女に成り代わろうと画策するようになってしまう……。
主人公をうらやんだライバルのいじめという構図は、かつて少女漫画界ではテンプレのように描かれていた。しかし本作を見ていた少女にとっては、ただただナージャが苦しめられてしまうかわいそうな展開が続くことになる。こういった描写もまた、視聴者離れを起こす原因になっていたのかもしれない。