当時は不評だったが…『機動戦士ガンダムZZ』はどう見るのがいい? 大人の視点で再評価してみたの画像
バンダイのプラモデル『HGUC 1/144 ZZガンダム (機動戦士ZZガンダム)』
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 初期宇宙世紀作品の『ガンダム』シリーズの中でも好き嫌いが分かれやすい作品である『機動戦士ガンダムZZ』。

 1986年3月から約1年にわたって放送された本作。富野由悠季監督は『機動戦士ガンダム大全集』(講談社)のインタビューなどで、「路線変更は当然予定していました」「合体ロボものにして、そのうえでユーモア作品の作りを若いスタッフに教えるために『ガンダム』を利用させてもらおうと考えた」と語っており、当時のファンは前作『機動戦士Zガンダム』との様々なギャップに、戸惑い、少なくないファンが拒否感を示す結果となってしまった。

 しかし現在の観点で改めて見返してみると、単体作品として、他のシリーズに決して劣るクオリティではない。また『ZZ』を見返すことで、より『ガンダム』シリーズを楽しめるようになる作品だと感じた。

■『機動戦士ガンダムZZ』の不評の原因は?

『機動戦士ガンダムZZ』が不評の原因として、『機動戦士ガンダム』のシリーズものとして、ファンから認められなかったことも理由のひとつだろう。

 1979年に放送されたテレビアニメ『機動戦士ガンダム』では、今までのロボットものには無いリアルな世界を描き、多くのファンを獲得した。そして、続く『機動戦士Zガンダム』で物語はさらにシリアスになり、『ガンダム』シリーズのブランド観が、固められていった。

 そんな中で続編として始まったのが、それまでとは方向性の違うコメディ色の強い『機動戦士ガンダムZZ』。メカ描写も、バトルや変形描写が派手になり、よりヒロイックになった。つまり従来のロボットアニメのテイストに戻ってしまったことが受け入れられにくかったように思える。

 またコメディ色の強い前半と、一気にシリアスになる後半との温度差や、アムロやシャアといった宇宙世紀の中心人物の登場が少なかった点も、更なる賛否両論を生み出した原因ではないだろうか。

■単体作品としての『機動戦士ガンダムZZ』を楽しむ

『機動戦士Zガンダム』からのギャップはあるが、シリーズとしてではなく、ひとつのアニメとして『機動戦士ガンダムZZ』を楽しむと、また違う感想となるだろう。

『機動戦士Zガンダム』のリアルでシリアスな雰囲気を求めなければ、敵も味方も重武装のモビルスーツは迫力満点で見応えがある。また作品の雰囲気が明るく、前向きな子どもたちが頑張るストーリー展開は、やはり元気を貰える。

 そして「萌えキャラ」の先取りとも評価される作品でもあり、エルピー・プルをはじめとして、ルー・ルカにエル・ビアンノなど主人公サイドの女性パイロットが可愛く描かれているのは大きな魅力の1つだ。

 敵キャラも個性豊かで、三枚目のマシュマー・セロや、歴戦のオールドタイプであるラカン・ダカラン、強化人間になる前からもエキセントリックなキャラ・スーンなど、濃くて面白いキャラが揃った作品だった。

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