■シリーズものとしての『機動戦士ガンダムZZ』を楽しむ
では、『ガンダム』シリーズの中での『機動戦士ガンダムZZ』はどうなのかというと、それはそれで楽しみ方がある。
重武装化したモビルスーツについても、長い宇宙世紀の歴史の中でも、スマートに変形する『機動戦士Zガンダム』と、小型化が進む『機動戦士ガンダムF91』の間に挟まれた希少な期間に製造されたモビルスーツである。そう見ると、宇宙世紀の壮大な歴史の1幕を、ピンポイントで見ている良さが感じられる。
また宇宙世紀ものとしても、『ガンダム』シリーズものとしても、これだけ明るく、かつライトに子どもが活躍する作品は少ない。彼らのたくましい冒険活劇を、宇宙世紀の流れの中で描く作品は、とてもユニークで他のシリーズには無い雰囲気だ。
宇宙世紀の一部として見ると、過去キャラやメカに味が出てくる時代の物語だろう。ブライトからは、それまでの体験が、彼を頼れる大人にさせているという成長を感じられる。またカミーユの精神も、着実に回復に向かっていることが分かる場面があり、大人になった今見返すと嬉しくなるシーンだ。
特に視聴者の拒否感が凄かったであろう、クワトロからビーチャにパイロットが変わる百式も、百式の歴史として見た場合には評価が変わる。『機動戦士Zガンダム』ラストのボロボロ状態から、ほぼ完全に修復。性格も操縦も全く違うパイロットが乗り、『機動戦士ガンダムZZ』でも最後まで戦い抜くという、まさに「波乱万丈」で心に染みる機体だ。
『機動戦士ガンダムZZ』を再評価してみると、どうしても、前半が好きなほど後半が、後半が好きなほど前半を見るのが辛くなる、そんな作品だと感じた。どちらかの雰囲気に寄った、新約『機動戦士ガンダムZZ』が見たくなった再評価であった。