木村拓哉
木村拓哉

 動画配信サービス『Hulu』で視聴できるSFサスペンスものの海外ドラマ『THE SWARM』。ドイツの配信サービスでは、配信2週間で過去最高の1800万回の視聴数を記録。ヨーロッパを中心に最高峰の賞を次々と受賞し、世界中で話題となっている。各国から名俳優が出演している本作で、日本から参加しているのが木村拓哉さんだ。

 かつて国民的アイドルグループ・SMAPの一員として、歌に踊りにバラエティにと八面六臂の活躍を見せていた木村さん。その多才さは留まるところを知らず、国内外のドラマや映画に俳優として出演しているほか、アニメやゲームといったサブカルの世界でも活躍している。そこで、“レジェンド”とも呼べる存在が見せつけた雄姿の数々について見ていこう。

■アニメでも見せたプロ根性! 『ハウルの動く城』ハウル役

 10年ぶりとなる新作映画『君たちはどう生きるか』が公開され、大ヒットを飛ばしている『スタジオジブリ』。巨匠・宮崎駿監督の描く圧倒的な世界観は、世代を超え、視聴者を楽しませてくれている。

 そんなジブリ名作のひとつ、2004年に公開された『ハウルの動く城』では、呪いによって老婆へと変貌したヒロイン・ソフィーと、巨大な“動く城”の主である魔法使い・ハウルが出会い、一風変わった冒険活劇が繰り広げられていく。

 ハウルは類まれなる才能と美貌を持つ青年で、彼とソフィーの触れ合いや恋愛模様も映画を彩るエッセンスの一つとなっている。そんな誰もが羨む“イケメン”魔法使いの声を担当したのが、木村さんだ。

 もともと、木村さん自身がジブリ作品へ出演を希望していたこと、そして、製作にかかわっていた鈴木敏夫プロデューサーが娘に彼の人となりを聞いてみたところ、「男のいいかげんさを表現できる人だと思う」という回答を受けたこともあり、ハウル役に大抜擢されたという。

 そんな木村さんだが、“声優”という世界でもプロ根性を見せつけていた。なんとあらかじめ台本のセリフをすべて頭に叩き込み、台本を持たずに収録へと臨んだというのだ。鈴木さんも“長いアニメ制作の現場のなかで初めての体験だった”と明かしていた。長いプロ生活のなかで培った実力を存分に発揮した、なんとも凄まじいエピソードである。

 公開中の映画『君たちはどう生きるか』では、主人公・眞人の父親役に抜擢されている木村さん。『ハウルの動く城』から19年ぶりの出演で、その演技が絶賛されていることでも話題だ。ロングランとなっている本作、映画館にぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

■“木村拓哉”をベースに描いた新解釈? 映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』古代進役

 数多くの実写映画でも目覚ましい活躍を見せつけている木村さんだが、2010年に公開された日本映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』では、主人公・古代進を演じている。

 本作は言わずもがな、名作SFアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)をベースとした実写映画で、木村さんのほかにも数多くの豪華俳優陣が起用されている。

 原作ありきの映画作品となると、やはりファンがまず注目するのは木村さんが演じる古代のクオリティだろう。原作の大まかな背景はそのままに、映画独自の新たな解釈が随所で加えられているのだが、古代のキャラクターについても木村さんのエッセンスがうまい具合にミックスされている。

 独特のヘアスタイルなどのルックス面ではもちろん、戦いを前にして感情を昂らせる姿や、兵器を操る際に唐突に現れる鋭い眼差し。家族がいない寂しさにふと揺れる姿など、“まさに古代進”と思わせる立ち振る舞いが観る者を惹きつける。

 しかし、そんなかっこいい姿を演じながらも、仲間との会話ではどこか間の抜けた姿を見せたり、意外と人間臭い部分があったりと、どこか“現代の若者”にも近しい人間味あふれる演技も見受けられ、原作の“古代進像”とそれを演じる“木村拓哉像”がミックスされた、新解釈のキャラクターを表現していたように思う。

 原作のイメージを極力崩さず、立ち振る舞いで今までにないキャラクター像を作り上げていたのは、演者としての能力の高さあってこその功績だろう。

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