ゲームを盛り上げるのに欠かせないサウンドは、いまや一大ジャンルとなっており、CDやサブスク、コンサートなどゲーム本編以外のさまざまなメディアで展開され、ファンの耳を楽しませてくれています。筆者も大のゲームミュージックファンのひとりで、気に入ったゲームのCDなどは忘れずに手に入れているほどです。そんな私がゲームミュージックに囚われてしまった原因ともいえるゲームを3つ紹介したいと思います。
■専用筐体のステレオサウンドに痺れた『沙羅曼蛇』
最初のきっかけとなったのは1986年にコナミからリリース、稼働されたアーケードゲーム『沙羅曼蛇』です。前作にあたる『グラディウス』からサウンド評価も高く、私も友人からレコードを借りてテープにダビングし、聞いていいました。しかし、『沙羅曼蛇』はその上をいくサウンドが耳に飛び込んできたのを覚えています。
当時のアーケードゲームはテーブル筐体がほとんど。スピーカーから鳴る音はモノラルで、しかもゲームセンター自体にさまざまな音が飛び交いあまりサウンドを楽しむ環境ではありませんでした。そこに現れたアップライトの『沙羅曼蛇』専用筐体。筐体に内蔵された左右のスピーカーから鳴り響くステレオサウンドは、ゲームをプレイしながらでも聞きやすく、『沙羅曼蛇』の鮮やかなグラフィックスとともに心に刻まれた思い出があります。そのサウンドのあまりの凄さにお小遣いを貯めて『沙羅曼蛇』のサントラテープを買ったのですが、現在はどこにいってしまったのか……見つけられないのが本当に悔やまれる1本です。
■ボディソニックとイヤホンジャックの優雅なゲーム体験が忘れられない『ダライアス』
ゲームサウンドにハマるきっかけとなった2作目は、多くの人が思い当たるであろう『ダライアス』(タイトー/1987年)。3つのモニターを連結し、低音が響くボディソニックを搭載した前代未聞の大型筐体がいまでも語り草になっている横スクロールシューティングの金字塔です。
特徴的な筐体や海洋生物をモチーフにしたボスなど『ダライアス』の魅力は枚挙にいとまがないほどですが、ZUNTATAによるサウンドもそのひとつ。『ダライアス』の筐体でサウンドとなると、ゲームの音に合わせて振動する「ボディソニック」が筆頭に挙げられますが、実はイヤホンジャックが内蔵されていて、自分や友人がプレイしているときにはイヤホンをつなげて曲を聞けたことも魅力でした。『ダライアス』もサントラテープを買ってしまった自分ですが、『ダライアス』はその前にイヤホンジャックから曲を録音したくなるほどのゲームだったのです。
曲そのものもゲームスタートから1面の「CAPTAIN NEO」、そして警告音を経てのキングフォスル戦BGM「BOSS SCENE1」への流れるような展開は、筆者もそうですが当時のシューティングファンの心を鷲掴みにするほどのインパクトがありました。
もちろんそのほかの曲も素晴らしいのですが、個人的にはZONE VからZのボス戦で流れる「BOSS SCENE7」は最高の一曲だと思います。緊迫感に満ちた序盤からピリピリした鋭い緊張感と紙一重の激しい攻防を描いた中盤、そして勝利したとも敗北したとも受け取れる終盤のせつなさはまるで短い物語のようで、シューティングのラスボス曲の極致ではないかと思います。ちなみに皆さんにとって『ダライアス』のラスボスは何でしょうか? 筆者にとっては、エメラルドを思わせる高貴なイメージのグリーンコロナタスがラスボスです。