■恐ろしい設定のある「北斗八悶九断」
最後は「北斗八悶九断」を紹介したい。この技は使用はされずに未遂で終わってしまうが、関連書でこの技について恐ろしい解説がされている。
この技が使用されそうになったのは、作中でケンシロウが伝承者になったばかりの頃である。ケンシロウが伝承者になったことを不満に思ったジャギは、ケンシロウに勝負を挑む。しかし、ケンシロウとジャギとの実力差はあまりにもありすぎる。
ジャギの卑怯な攻撃を避けて、ボコボコにしたケンシロウは、「北斗八悶九断」と叫んで止めをさそうとするが、そこで拳を止めてしまう。ジャギが兄ということもあり、躊躇ってしまったのだろう。
そのため、いったいどのような技なのか気になった人も多いはずだ。そして、その答えは意外なところにあった。ファミコン『北斗の拳2』の攻略本『ハイテク北斗の拳2 秘奥義の書』にある袋とじページ「秘奥義大全」に記載されていた奥義説明によると、「8つの苦しみを与え、体を9つの破片に爆発させ、相手の息の根を止める秘拳」ということらしい。「8つの苦しみ」「9つの破片」と文字だけでも恐ろしい……。
すぐに殺すのではなく、じわじわと痛みを与えて、最後に爆発させるとは拷問以外のなにものでもない。そんな技を兄のジャギに喰らわそうとしていたのだから、ケンシロウがよほど頭にきていたことが分かる。
北斗神拳は絶対に喰らいたくないと思えるほどの技だからこそ、相手の戦意を喪失させることにも繋がっている。そうやって無駄な戦いを避けているのかもしれない。