『北斗の拳』ケンシロウにラオウも…無骨な男たちが見せた“クールだけど笑えるシーン”の画像
ゼノンコミックス『北斗の拳』第1巻(コアミックス)

 今年40周年を迎え、新しいシリーズのアニメ化も発表された『北斗の拳』。原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏によって描かれたこの作品は、40年経っても色褪せることはない。

 ところで、子どものころは“シリアスな漫画”として真剣に読んでいたものの、大人になって読み返すと“このシーンってちょっと面白くない?”と、ついつい笑ってしまう場面はないだろうか。

 ケンシロウをはじめとした登場人物は無骨な男であるがゆえ、彼らが真面目に口にするセリフや行動にはなぜか面白みが感じられるのだ。今回は『北斗の拳』に出てくる、クールだけど笑えるシーンを紹介したい。

■インパクトのある巨大バイクの登場、そして「汚物は消毒だ~!!」

 まずは、コミック10巻「南斗の帝王!の巻」での南斗鳳凰拳の伝承者・サウザーの登場シーンを紹介したい。サウザーの部下である聖帝軍兵士のサングラスをかけたモヒカン男は、視察中のサウザーの前に立って「さがれ! 道をあけろ〜〜!! 聖帝様の御視察だ〜~っ!!」と、火炎放射器で民衆を攻撃していた。

 残虐な行為におののく民衆に対し「わははは 土下座しろ!! 消毒されてえかーー!! 」と息まくモヒカン男だったが、しかしそこにケンシロウが登場。

 ケンシロウは火炎放射器を取り上げて一言、「おまえのいうとおりだ 汚物は消毒すべきだな……」と言い、顔面に炎を浴びせる。「うわぢゃ~〜!!」のセリフとともに焼かれてしまったモヒカン男、あまりのザコっぷりになんだかにやけてしまうシーンだ。

 このシーンは、サウザーの登場シーンもインパクトがある。世紀末の時代にどうやってそんな豪華絢爛なバイクを作ることができたのか……。まさにバブル期のゴージャスな時代を象徴しているかのような動く王座も、あらためて見ると面白い。

■人間ハンマー「おまえが飛ぶんだ」

 コミック12巻「わが星は天狼の星!の巻」に登場するザコたちも、かなり面白い。

 拳王ことラオウが領土を離れているのをいいことに、やりたい放題のザコたち。そのなかの一人、ゴンズは村人に鉄鎖をつけて振り回し、どこまで飛ばせるかという“人間ハンマー投げ”をおこなっていた。そして、遠くに人を飛ばしたゴンズに対し「おお~〜ゴンズ様 新記録!!」とおどける記録係のザコ。

 そこにケンシロウが登場し、「今度はオレが挑戦しよう!」と言う。遠くを指差すケンシロウに不思議がるゴンズだったが、そこでケンシロウは「おまえが飛ぶんだ」と言い、思い切り蹴り飛ばす。「ぶべえ!!」と飛んだゴンズはビルに叩きつけられ、そこで一貫の終わり。ドシャ…と落ちてきたゴンズを見て、記録係のザコは「あ…新記録……」と口にする。

 人間ハンマーはとても残酷な場面だが、やっていたザコがいとも簡単にケンシロウによって同じように飛ばされ、新記録のオチがつくのには笑ってしまう。

 さらにその後、天狼星のリュウガが登場し、あっけなく倒されていくザコたち。ザコの1人がケンシロウに「お…おい 新記録の男 あんた助けてくれ!!」と泣きつくシーンも、なんとも情けなくてユニークだった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3