1979年にアニメ『機動戦士ガンダム』が放送されて以来、現在までさまざまな作品が作られてきた『ガンダム』シリーズ。宇宙での戦争を描く同シリーズでは、登場する個性豊かなキャラたちによる人間ドラマが魅力だが、それぞれに背景があり、モビルスーツに魅せられて戦いそのものを楽しむキャラもいれば、とんでもなく悲しい過去を背負うキャラもいる。
なかには「いくらなんでもやりすぎじゃない?」と感じるワガママな行動をとるキャラも。たとえば『機動戦士Zガンダム』に登場したカツ・コバヤシは、自分の考えを通すためなら命令違反も無断出撃もおそれない、“ワガママ”と聞いて多くのガンダムファンが想像するであろうキャラだ。
そこで今回は、視聴者を驚かせた「ワガママ行動」を取ったキャラを3人ピックアップ。カツに負けず劣らずの傍若無人なキャラたちの、その実態を見てみたい。
■自分に想いを寄せる男を利用!三大悪女の候補にも
まずは、2024年1月にシリーズ最新映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が公開となる『機動戦士ガンダムSEED』より、フレイ・アルスター。
生来の肉体を持つ「ナチュラル」と、遺伝子操作を受けた「コーディネイター」の対立を描く本作。大西洋連邦高官ジョージ・アルスターの娘であるフレイは、カレッジでもマドンナ的立場にあるキャラクターで、主人公キラ・ヤマトからも想いを寄せられていた。
『機動戦士Vガンダム』のカテジナ・ルースを筆頭に、『ガンダム』シリーズではファンの間で「悪女」と呼ばれる女性キャラクターが登場してきたが、フレイもまたそのうちの一人だろう。
彼女はもともとは美しいお嬢様キャラだったが、戦争に巻き込まれて父親が殺害され変貌し、元来持っていたワガママぶりに拍車がかかっていく。父を殺したコーディネイターへの復讐を叶えるために「同じコーディネイターだから本気で戦っていない」とキラを責めたうえ、コーディネイター同士で殺し合いをさせるためにキラの自身への想いを利用する。そうしてキラと関係を結んだフレイだが、彼女にはサイ・アーガイルという婚約者がおり、彼はキラの同級生でもあった。そしてサイとの婚約を一方的に破棄するものの関係は完全には切らず、その三角関係がキラの精神の不安定さを加速させていった。
男を惑わす、それまでの『ガンダム』にないタイプの「悪女」だが、15歳という若さにして天涯孤独の身になり、それまで縁のなかった戦争の最前線に身を置くようになったかわいそうなキャラでもある。当時は「ワガママ」に見えた人も、大人になって見返すと違った印象を覚えるかもしれない。
■初陣で友軍を撃墜!将来はテロ行動に身をやつす
続いて紹介するのは、ハサウェイ・ノア。1988年に公開されたアニメ映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したほか、2021年に公開された『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に主人公として登場した。
一年戦争を始めとする多くの戦いを生き残った連邦軍のブライト・ノアとミライの子で、『逆襲のシャア』では政府高官の娘クェス・パラヤに想いを寄せる。
ハサウェイはクェスへの想いを第一に考え、戦艦への密航と友軍機の撃墜を行ってしまう。無断出撃をしたハサウェイを追って出撃したチェーン・アギは、ハサウェイを守るためにクェスの乗るα・アジールを撃墜。しかしそれに激昂したハサウェイは、明確な殺意を持って友軍であるチェーンを撃墜、殺害した。
また『閃光のハサウェイ』では、反地球連邦政府組織の一員として地球連邦政府に対してテロ活動を行っている。『閃光のハサウェイ』は3部作が予定されており、小説版とは異なるストーリーが描かれるそう。2作目以降の展開で、ハサウェイがどのような行動を取るのか楽しみだ。