少年漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)には、夢や希望がつまった作品の数々が連載されている。バトルや冒険をテーマにした作品が多いが、なかにはドキドキしてしまうような「キスシーン」が登場することも。そこで今回は『ジャンプ』に登場したキスシーンのなかで、ロマンチックなものからトラウマ級のものまで印象的な名シーンをご紹介していこう。
■ロマンティックさは秀逸! 『シティーハンター』獠&香
9月8日に劇場版アニメ『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が公開されたばかりの『シティーハンター』は、北条司さんによって1985年13号から1991年50号にかけて本誌で連載された。
新宿でスイーパー(始末屋)として活躍している冴羽獠を主人公に、手に汗握るようなアクションが描かれている本作。ナンバーワンとうたわれるほどの手腕を持ちながら、無類の女好きという一面をもつ獠が巻き込まれていくさまざまな事件やトラブルを、「シティーハンター」としてパートナーの槇村香とともに解決していく姿は爽快だ。
本作では、獠と香の恋愛模様も見どころの1つだった。双方が想いあっていることは明らかなのだが、仕事柄もあり、なかなか発展しない関係の2人……。しかし、作中では何度か2人のキスシーンが登場し、読者を楽しませている。
なかでもとくにロマンチックだったのが、コミックス31巻に登場する“窓ガラス越しのキスシーン”だった。崩れ落ちていく建物のなかで、「無事に生きて帰る」という約束を交わしながら窓ガラス越しにキスをする獠と香。
過酷な仕事をしている2人に、命の保証はないに等しい。それでも愛する人の無事を願うその姿に、思わずグッとくる名シーンだ。
2人の関係性を知っているからこそ、このキスの重みは計り知れない。『週刊少年ジャンプ』に登場するキスシーンは?と聞かれて、このシーンを思い浮かべる人は多いだろう。
■最終話で描かれたキスシーンが話題に! 『きまぐれオレンジ☆ロード』恭介&まどか
1984年15号から1987年42号まで連載された、まつもと泉さんの『きまぐれオレンジ☆ロード』。
超能力を持つ主人公・春日恭介と、ミステリアスな美少女・鮎川まどか、そしてまどかの幼馴染でライバルでもある檜山ひかるの三角関係を主軸に描かれるラブコメディ作品になっている。
もどかしい関係が続き、彼らの恋愛の行く末を多くの読者が見守っていた。そして、ようやく想いが成就した恭介とまどかが最終話で見せたラストシーンでのキスは、もはや神々しくもあった。
見開きで描かれた2人のキスシーン。階段で一段上に立つまどかに口づける恭介の姿とともに、「このときめきは……忘れない」と締めくくられていた。
キスシーンは恋愛漫画ではありふれたものかもしれないが、大切に大切に描かれた本作では作中屈指の名シーンとしてファンの心に刻まれることになっただろう。
ちなみに、愛蔵版ではラストシーンの描写が加筆されているので、そちらもぜひ見てみてほしい。