漫画やアニメでは、作中で特殊な能力を身につけたり肉体の一部を特化させたりして、ストーリーを盛り上げてくれるキャラがたびたび登場する。特にバトルものにおいては、“スピードの速さ”が勝負を決める要素にもなっており、強者であるキャラが必ずといっても良いほど身につけている力のひとつだ。
中には「スピード命」といわんばかりに速さに特化しているキャラもいて、それを強化しすぎたあまりにとんでもない展開を迎えることも……。今回は、そんなスピード特化型のキャラたちを紹介していきたい。
■自ら投げた手裏剣を自分でキャッチ! 『魁!!男塾』藤堂兵衛
まずは宮下あきらさんの『魁!!男塾』に登場する藤堂兵衛だ。藤堂は男塾塾長・江田島平八と因縁の関係で、どんな手段を使っても生き延びることがモットーのようなキャラでもある。
そんな藤堂が開催した武道大会「天挑五輪大武會」では、男塾の面々が藤堂の首を取るために優勝を目指した。やがて見事優勝を果たして藤堂に接触する機会を狙うも、それを見抜かれて返り討ちにあってしまう。
そこに現れたのが平八で、藤堂も彼とやむなく対決をすることになった。藤堂は常に奥に隠れているような存在なのであまり強そうに思えないが、実は武術の達人でもある。それも、速さをとことん追求した「黒兜流」と呼ばれる流派を極めているのだ。
この武術の修行は独特で、硫酸の池に浮かべた不溶性の紙片の上を駆け抜けるというものもある。これを極めることで、約36メートルを一瞬のうちに移動することすらも可能になるのだ。
藤堂は黒兜流極奥義である「瞬噭刹駆」を平八に使用するのだが、これが凄すぎる。かすっただけで巨象を即死させる猛毒を塗り込んだ手裏剣を平八に投げつけ、平八がそれを避けると背後に回り込んでその手裏剣を受け止めるのだ。しかもそれを平然と繰り返す……。
高速で投げる手裏剣でひとりキャッチボールを行っているわけだが、猛毒を素手で掴んで大丈夫?という疑問も浮かぶ。しかし、これこそ男塾!というべき技でもあるだろう。
ちなみにこの奥義の解説の余談として、「かけそば」は当時修業者が座して食べる暇を惜しみ、器を持って“駆け”ながら食べた“そば”が由来とされている、とのトンデモ情報(もちろん事実無根)が記されているから笑ってしまう。
■核爆発から生還!? 『サイボーグ009』島村ジョー
次は石森章太郎(石ノ森章太郎)さんによる『サイボーグ009』に登場する島村ジョー。本作は、特殊な能力を持つ9人の精鋭が「黒い幽霊団(ブラック・ゴースト」と呼ばれる悪の組織と戦うストーリーとなっている。
ジョーの能力は加速装置と呼ばれるもので、奥歯に仕込まれたスイッチを押すことによってマッハ3以上のスピードを出すことができる。それによって目にも止まらない速さとなり、相手の攻撃を避け反撃することが可能。そんなジョーの速さにまつわるとんでもエピソードが、劇場版『009 RE:CYBORG』の中に登場するのだ。
本作では、神の声を聞いたという者たちによって世界各国で爆破テロが勃発。それを阻止するためにジョーたちが動くことになる。そんな中、核ミサイルがドバイの市街地に向けて発射されたとき、ジョーはミサイルを止めることができず、至近距離での爆破を余儀なくされてしまう。爆発直前、ジョーが加速装置を作動させると周囲の景色はスローモーションになり、彼はひとり爆心地から駆け抜ける。
ミサイルが市街地へ落ちると核爆発が起こり、人も建物も次々に吹き飛ばされて灰になっていった。そんな中をジョーは高速で走り抜けて、何と一瞬で爆心地から遠く離れた場所まで到達したのだ。まさか核爆発から走って逃げ切るとは……その予想以上の速さには誰もが驚いただろう。