■これぞ大人男性の色気がムンムン!?『娚の一生』
西炯子さんによる『娚(おとこ)の一生』は、『月刊フラワーズ』(小学館)にて2008年から掲載された。
主人公は仕事と恋愛に疲れ、亡くなった田舎の祖母の家で暮らしはじめた30代女性・堂薗つぐみ。そんなとき、50代の大学教授・海江田醇が家の離れに住みはじめ、つぐみは海江田からアプローチされるようになる。
漫画の世界では50代の男性でもイケメンに描かれることが多いが、本作ではリアルな50代の男性が描かれているのもポイントだ。猫背で下駄をカランコロンと鳴らし、タバコを吸いながら京都弁を話す海江田はリアルに居そうな等身大のオジサマだ。しかし、恋愛に億劫になっているつぐみに対し「練習やと思てぼく相手に恋愛してみなさい」といったさりげないアプローチができるのは素敵だ。
本作はつぐみと海江田による「足キスシーン」が話題となり、2015年には榮倉奈々さんと豊川悦司さん主演の映画でもそのシーンが見事再現されている。50代男性ならではの大人の色気を堪能できる作品だ。
一昔前の少女漫画では、若いヒロインとカッコいい青年が描かれることが多かったように思う。しかし現在の漫画ではより多くの登場人物が主役となっており、もはや年齢は関係ない。
今回は“オジサマ”にスポットを当てて紹介したが、オバサマやおじいちゃん、赤ちゃんたちが活躍する漫画も多数ある。「何歳であっても自分が主役」漫画はそんなストーリーがあるから面白い。