■原作ヒットにも繋がる深田恭子主演作

 さて、実写化を機にヒットした作品は深田恭子が主演を務めているものが多い。中原アヤ氏の漫画『ダメな私に恋してください』は2016年にTBS系でテレビドラマ化。深田が演じたのは、30歳になるのに独身で無職で貯金なし。それなのに年下の彼氏に貢いでしまうというキャラクターだった。

 また持田あき氏の漫画を原作とした2019年のドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)も大ヒットした作品。

 深田演じる主人公は学生時代は優等生であったが、大学受験に失敗して以降、就職試験、婚活など人生の岐路で失敗し続けている、視聴者の共感を呼ぶ女性キャラクター。ピンク髪の教え子である高校生・横浜流星とのシーンは多くの視聴者を夢中にさせた。

 また少女漫画原作ではなく青年漫画雑誌『イブニング』(講談社)連載ではあるものの、高倉あつこ氏の漫画を原作とした2007年のドラマ『山おんな壁おんな』(フジテレビ系)は、ドラマをきっかけに原作漫画も注目され、重版がかかったという逸話を持つ。深田が演じた胸の大きい天然キャラである「山おんな」は男性に好かれるところをこれでもかと詰め込んだキャラだった。

 女性人気だけでなく男性からの支持も集める深田。彼女の困った顔や、頑張っているのに物事がうまくいかない様子はどうも応援したくなる。まさに実写化無双状態と言っていいだろう。

 こう並べてみると、やはり少女漫画原作の実写化が成功する要素の1つは、主人公にダメな部分があるということにあるように感じる。それをわざとらしくなく、嫌味なく演じてみせる女優の手腕は大したものだ。

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