■機関銃を撃ちまくり、遮断機を折って走り高跳び…『お父さんは心配症』

『お父さんは心配症』は岡田さんがはじめて『りぼん』で連載した作品であり、過激なギャグがとても多い作品だ。

 妻に先立たれた主人公・佐々木光太郎は1人娘の典子を大切にするあまり、典子のボーイフレンド・北野をピストルで攻撃したり包丁で刺したりと、暴走が止まらない中年男だ。

 コミックス5巻に掲載されている「消えた5千万円をさがせ!!の巻」では、光太郎は会社から預かった5千万をうっかり他人に奪われてしまう。路上で犯人を見つけた光太郎は、なんと機関銃を犯人めがけて撃ちまくり、通行人にケガを負わせてしまう。しまいには手がすべって自分の頭も機関銃で撃ちぬき「ぎゃー」という始末……。

 その後も犯人を追跡するが踏切に遮られる。しかし、光太郎は遮断機を折って高跳びのポールのようにして線路を飛び越えようとする。しかし電車に激突し、血だらけになって車内へ飛び込んだ光太郎は、貧血を起こして一般客のひざに崩れ落ちる……という展開だ。

『お父さんは心配症』は、もうどこから突っ込んでいいのか分からない破天荒な作品であり、すべてのコマに“マネをしないでください”の注意書きが貼られてもおかしくない作品だ。それでも笑いに変えられるのは、岡田さんならではの独特な画風や世界観があるからだろう。

 

 岡田さんの作品が掲載されていたころはまさに『りぼん』の少女漫画全盛期であり、多くの作品でピュアな恋愛ストーリーが展開されていた。そんななか、岡田さんの描くハチャメチャなギャグマンガはまさに“異色”であり、記憶に残る作品として現在でも多くのファンがいる。

 今回紹介したギャグはほんの一部なので、思い切り笑いたい人はぜひ岡田さんの3作品を読んでほしい。昭和の伝説少女漫画である“あーみん作品”は、令和の今もなお、新たな感動を読者に与えてくれるはずだ。

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