『ルナティック雑技団』に『お父さんは心配症』も…令和の今なら絶対アウト? 岡田あーみんの“過激なギャグシーン”の画像
「特別展 りぼん」公式ビジュアル

 1983年から少女漫画雑誌『りぼん』(集英社)で活躍した伝説のギャグマンガ家・岡田あーみんさん。連載された漫画は全部で3つ、そのどれもがハチャメチャな展開を呼ぶストーリーであり、当時、岡田さんは“少女漫画界に咲くドクダミの花”と呼ばれていた。

 そんな岡田さんが描いた3作品、今ではちょっと問題になってしまいそうな過激なギャグシーンも多い。今回は“笑いと恐怖は紙一重”とも言える過激なシーンを紹介しよう。

■嫉妬した母がヒロインの背中に包丁で…『ルナティック雑技団』

『ルナティック雑技団』は、1993年から95年にかけて『りぼん』(途中から『りぼんオリジナル』)で連載された少女漫画である。しかし少女漫画とはいっても登場人物はいずれもクセが強く、一度読んだら忘れられないほどインパクトのある作品だ。

 美少年の天湖森夜に憧れる女子中学生・星野夢実は、ひょんなことから森夜の家に下宿することとなる。しかしそこには本作最大の過激キャラクター、森夜の母・ゆり子がいた。

 ゆり子は森夜を溺愛するあまり、夢実に執拗な攻撃をしかけてくる。朝寝ぼけている森夜の背中に指で「スキ」と書く夢実。しかしそんな夢実の背中にゆり子は包丁で「淫婦」と描くのだ。「なーんてかいた?」と聞く百合子に対し、「複雑すぎてわかりません」と震えながら答える夢実……。

 昔、このシーンを読んだ筆者は、その後ゆり子が見せる「ガンダー」の鬼の形相にも大爆笑した。「淫婦」という言葉を用いて夢実を追い詰めるゆり子、このディープな言葉の選び方も岡田さんならではの秀逸なギャグであると言えよう。

■お腹に人の顔ができる奇病でハチャメチャ『こいつら100%伝説』

『こいつら100%伝説』は、戦国時代に活躍する忍者を主人公にした漫画だ。自己中心的でクールな極丸、ナルシスト全開の危脳丸、小柄でかわいらしい満丸の3人が白鳥城の姫である白鳥姫子を守りつつ、ハチャメチャな毎日を展開していく。

 なかでも岡田さんのギャグが炸裂していたのが、第7回に掲載された危脳丸の奇病だ。朝「腹のあたりがじんじんする」といって起床した危脳丸。お腹には“ケーケッケッ”と笑う人面瘡のようなものが……! 人面瘡は手塚治虫さんの『ブラック・ジャック』などにも登場してその恐ろしさを見せつけていたが、岡田さんの描く人面瘡は着物から突き破って朝食をガツガツたいらげ、ケーケッケッと笑い続けるなど、とにかくギャグ満載だ。

 その後、お腹を隠して学校に行く危脳丸だったが、その日は運悪く身体測定があった。周りに人面瘡がバレないよう、危脳丸は頭に藁を被り、人面瘡を自分の顔にして身体測定に挑む。胸囲を測る際には「ボクのおちちはおでこにあるんです」なんて言う始末。

 はじめて人面瘡を見た極丸が危脳丸を見世物協会に売り飛ばそうとするなど、今では問題になるであろうギャグがてんこ盛りの回であった。

  1. 1
  2. 2