読者の誰もが死んだと思った…漫画キャラたちを銃弾から守った「胸ポケットに入っていた」ものの画像
ビッグコミックススペシャル『MASTERキートン』完全版第1巻(小学館)

 漫画やアニメには、お約束と呼ばれるようなパターン化された展開というものがある。そのひとつが、放たれた銃弾などを偶然“胸ポケットに入れていた何か”で受け止めるというものだ。

 それは携帯だったり、ライターだったりおまもりだったり、中にはコインというものもあったりする。銃弾がピンポイントでその場所に当たって助かる確率は、恐ろしいほど低いに違いない。

 そこで今回は胸ポケットに何かを入れて助かったキャラとエピソードを一緒に紹介していきたい。どんな物がポケットに入っていて助かったのか? 気になるのではないだろうか。

■『MASTERキートン』では「雷文の女神のプレート」

 浦沢直樹さん、勝鹿北星さん、長崎尚志さんによる『MASTERキートン』(小学館)は、考古学をテーマにした作品だ。主人公の平賀=キートン・太一は、イギリス特殊部隊SAS出身の考古学者兼、保険の調査員というおかしな経歴の持ち主。そのため、危険な仕事をすることもたびたびあった。

 最終章では、チャウシェスクの隠し遺産と呼ばれる「TA89」を巡って、ジェコバ村が戦場となってしまう。キートンは村人を守るために応戦することになるが、相手は訓練され武装した軍人だ。そのため、リーダーであるゲオルグに追い詰められる。

 キートンはゲオルグに拳銃を突きつけられ、何度殴られても「TA89」の居場所を吐かなかった。そして、一瞬の隙をついてゲオルグにガソリンを浴びせかけ、マッチを取り出し「マッチを擦ったらTA89は灰になるぞ」と脅す。これにはゲオルグも怯むのかと思いきやまさかの発砲。ガソリンまみれになっているのに、躊躇わず発砲するところ

 このプレートは、キートンが長年探していたドナウ文明を証明する発掘品であり、勇者の証として古くからジェコバ村に伝わるものでもあったのだ。そこからもキートンが奇妙な運命によって、村に引き寄せられたのが分かる。キートンが死ななかったのは、使命を果たすために神様が生かしたのではないかと思わずにはいられない。

■『ジョジョの奇妙な冒険』では「外した腕時計」

 荒木飛呂彦さんによる『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)にも九死に一生を得たキャラがいる。しかもそれは主人公ではなく、強運によって守られた第4部のラスボス・吉良吉影だ。

 川尻浩作という一般人になりすまして生活していた殺人鬼・吉良は、その家の息子である川尻早人に本当の父親ではないことがバレてしまう。早人は一般人の小学生のため、吉良も油断していたのだろう。早人は吉良の知らない間に、吉良を倒すための算段を整えていたのだ。それが吉良が天井裏に隠していたスタンド使いの猫草を利用するというものだった。

 並の攻撃なら吉良のスタンド「キラークイーン」に防がれてしまう。そこで早人はランドセルの中に猫草を隠し持ち、吉良が不用意に近づいた瞬間を狙った。猫草が放つのは目に見えない空気の弾丸。不意打ちのうえに目に見えないとなると、最強クラスのスタンドを持つ吉良でも対応することは不可能だろうと考えた。

 結果、弾丸をまともに食らった吉良は胸を貫かれて激しく倒れてしまう。しかしそんな喜びも束の間、吉良は立ち上がって「信じられない幸運だ……」と運命に驚く。

 吉良はその日の朝、コーヒーをこぼしたことで腕時計を外して胸ポケットにしまっていたのだ。それが偶然、撃たれた弾から自身を守っていた。まさか悪役がこのパターンで助かるとは、読者の誰もが思わなかったに違いない。

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