■『名探偵コナン』の「麻雀牌」
最後は青山剛昌さんによる『名探偵コナン』(小学館)から。『コナン』では、凶悪事件が次々起こるので、銃撃も普通に有り得る話。しかし、胸に何かを入れていて助かる展開は実は珍しい。
それがタイトル「傷」から始まった事件で、15年前の殺人事件が現在に関係するというものだ。ここで活躍するのはコナンというよりも高木刑事だろう。犯人と知らずに近づいてしまい、気絶させられ人質になってしまうが、恋人の佐藤刑事を守るために奮闘している。
犯人は高木から拳銃を奪うと、警察が突入するのに合わせて発砲をしようと身構えていた。そのとき佐藤の声がしたため、高木は突入と同時に自らが盾となる。
高木は犯人の銃弾を胸に受け病院に運ばれたが、何と全くの無傷。事件を追っている最中に証拠品として預かっていた麻雀牌を胸ポケットに入れたことにより助かったのだ。白鳥警部が「犯人の弾丸が当たって…助かるパターン…」と話して麻雀牌を見せると、弾丸が牌のど真ん中に埋まって止まっていた。麻雀牌は樹脂製品がほとんどで、弾丸を止めるなど絶対にあり得ないし、的が小さすぎる。あらゆる常識を無視して助かった高木の悪運の強さに驚かされてしまう。
漫画やアニメの中で銃弾を胸ポケットに入れた物で受け止めるのは、必ずしも同じような物とは限らない。作品によって、いろんな物が偶然胸ポケットに入っているからだ。紹介したエピソード以外にも、ひょっとしたらかなりレアな物もあるのかもしれない。