アニメ『ガンダム』シリーズは、激しい人間関係の描写も多く、戦時中の恋愛模様もよく見られる。ハッピーエンドを迎えるパターンがある一方で、報われない愛も少なくない。そして、報われない愛に翻弄されたキャラクターは、悲劇的な結末を迎えてしまう。
特に有名なのは、『機動戦士ガンダム』に登場したアムロ・レイとシャア・アズナブル。彼らは作中で女性関係が描かれるものの、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』にてとても幸せとはいえない結末を迎えた。
そこで今回は、宇宙世紀シリーズにおいて“報われない愛”に翻弄されたキャラクターを3人ピックアップ。どのような悲劇となってしまったのか、あわせてみていこう。
■好意を寄せた相手を誤射し、自らの手で死亡させる
最初に紹介するのは、1985年に放送された『機動戦士Zガンダム』に登場するカツ・コバヤシ。
カツは、物語の途中で敵対組織ティターンズのパイロットであるサラ・ザビアロフに恋心を抱く。シリーズにおいて敵対組織との恋愛模様はよく描かれるが、カツもまたそれに翻弄された1人。ティターンズを抜けるように何度も説得するが、サラはティターンズの中心人物であるパプテマス・シロッコに恋愛感情ともいえるほど心酔しており、聞き入れてもらえない。
それどころか、捕虜となったサラに騙され逃亡を許してしまう。そして第46話「シロッコ立つ」ではシロッコを撃とうしたが、それをかばったサラを撃沈。自らの手で死亡させてしまった。
このシーンは、前作『機動戦士ガンダム』におけるアムロとララァのシーンと酷似。人類は同じ過ちを繰り返すという本質的な部分をアニメでも描いている。
■男女にこだわりすぎて男性不信に
続いて紹介するのも『機動戦士Zガンダム』に登場したキャラクター。主人公のカミーユ・ビダンにとって「あこがれのお姉さん」的ポジションのレコア・ロンドだ。物語当初は反連邦組織エゥーゴに所属していたが物語後半で裏切り、エゥーゴと敵対するティターンズに参加する。
直接的な表現はないが、レコアはエゥーゴの上官であるクワトロ・バジーナと男女関係にあった。しかし、病床に伏していたときに戦闘があり、自分のことを気にもかけないクワトロの態度に失望。これがレコアに影を落とし、のちの裏切りにつながる。
男性に対する不信感がつのったレコアは、諜報活動中にシロッコの感性に触れ、「世界は女性が統治すべき」という考えに共感。エゥーゴを裏切り、ティターンズの兵士として戦う。
そして、第49話「生命散って」にてエマ・シーンと対峙して戦死する。エマは奇しくもティターンズを裏切った兵士で、物語全編を通してレコアと対比的に描かれた。
なお、レコアはシロッコについたがシロッコの考えに賛同したというより、半ばなし崩し的な感情の揺れ動きが見られた。レコアの心情の揺れ動きは、本作の見どころのひとつといえる。