■今でもBGMやキャラクターが人気! 横山光輝『魔法使いサリー』
横山光輝さんは手塚治虫さんと同世代の漫画家であり、『伊賀の影丸』や『鉄人28号』など、アニメ化もされ多くの子どもたちから絶大な支持を得た作品を手がけてきた。長期連載である『三国志』では数々の名セリフも話題となるなど、昭和漫画界の巨匠である。
少年・青年漫画のイメージが強い横山さんだが、実は少女漫画の実績も高く、代表作は1966年に『りぼん』で連載がはじまった『魔法使いサリー』が有名だ。
本作は魔法の国からやってきたサリーが人間界で巻き起こすドタバタコメディであり、アニメ化された際には耳に残るテーマ曲も話題になった。髪型が特徴的な“サリーちゃんのパパ”は今でも有名で、多くのコメディアンがその格好に扮するなどメディアに与えた影響も大きい。
■仮面ライダーを手がけた作者は少女漫画界でも凄かった! 石ノ森章太郎『いやんポコ』ほか
石ノ森章太郎さんは『サイボーグ009』や『人造人間キカイダー』など、日本の漫画界に多くの功績を残した漫画家だ。とくに『仮面ライダー』の特撮作品の原作者として、世界中に広く知られている。
そんな石ノ森さんが描くジャンルは幅広く、多くの少女漫画作品も手がけてきた。『りぼん』では1960年に『いやんポコ』、『なかよし』では1963年に『あかんべぇ天使』など多くの作品を掲載。しかも少女漫画でも内容はそれぞれ異なり、恐ろしいホラーストーリーやおてんば少女が活躍する話、石ノ森さん体験談の短編ストーリーなど、幅広いジャンルが特徴だ。
享年60歳という短い生涯でありながら、石ノ森さんが生み出した作品は全部で約770作品。これは「一人の著者によるコミックの出版作品数が世界で最も多い記録」として、ギネスにも認定されている。
石ノ森さんが手がけた初期少女漫画は『石ノ森章太郎コレクション』として筑摩書房より販売されている。今読んでも古めいた印象はなく、不思議でワクワクするストーリーが楽しめる。
『りぼん』や『なかよし』は、イメージ的に女性の漫画家が活躍している雑誌にも見える。しかし過去には巨匠と呼ばれた男性漫画家も多くの作品も掲載しており、彼らならではのアイデアと描画が少女漫画の世界でも楽しめたのだ。
今回紹介した作品のなかには、新たに復刻されて現在でも楽しめる漫画もある。これをきっかけに、ぜひ巨匠たちが描いた少女漫画をチェックしてみてはどうだろうか。