手塚治虫や松本零士、石ノ森章太郎も…実は『りぼん』や『なかよし』でも掲載されていた“巨匠たちが描いた名作少女漫画”の画像
講談社コミッククリエイト『リボンの騎士』第1巻(手塚治虫文庫全集)(講談社)

 少女漫画の代表的な雑誌といえば、『りぼん』や『なかよし』を思い浮かべる人も多いだろう。これらの雑誌では『ちびまる子ちゃん』や『美少女戦士セーラームーン』など、長きにわたって人々から愛される多くの名作が生み出されてきた。

 これら連載を思い浮かべると、少女漫画雑誌は女性漫画家が多く活躍しているように見える。しかしかつては手塚治虫さんや松本零士さんなど、男性漫画で人気を誇った巨匠たちも連載をしていたのをご存じだろうか。今回は「えっ、あんな巨匠漫画家も少女漫画を書いていたの!?」と驚くような作品の数々を紹介したい。

■漫画の神様が描く日本初のストーリー系少女漫画! 手塚治虫『リボンの騎士』

 言わずと知れた“漫画の神様”である手塚治虫さんは、『鉄腕アトム』や『ブラック・ジャック』など少年・青年漫画を描く作家としてのイメージが強いかもしれない。しかし手塚さんは1953年から雑誌『少女クラブ』にて、少女漫画の『リボンの騎士』を連載。その後、1958年から少女雑誌『なかよし』にて、同作の続編を連載している。

 本作は男女の2つの心を持って生まれたサファイアが、多くの試練を乗り越えていくストーリーだ。当時、宝塚歌劇のスターとも交流があった手塚さんが、歌劇の世界観からヒントを得て誕生した作品と言われている。

『リボンの騎士』は日本初の“ストーリー少女漫画”として、その後の少女漫画界にも大きな影響を与えた。昭和の少女漫画の多くは目の中にきらめく星が描かれていたが、その表現方法は『リボンの騎士』が最初と言われているほどだ。まさに少女漫画界にも大きな功績と影響を与えた、漫画の神様ならではの作品である。

■あの美しい女性画は少女漫画の経験があったから!? 松本零士『魔女のよびごえ』

 松本零士さんは『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』など壮大なSF大作を描いた巨匠である。しかしそんな松本さんの漫画家デビューは、1957年『少女』に掲載された『黒い花びら』であった。

 その後しばらくは少女漫画誌での執筆が続き、1960年には『なかよし』の夏休み増刊号付録として『魔女のよびごえ』、1963年の『りぼん』6月号に『虹の出た日に…』などが掲載されている。ただし現在はいずれの作品も造本されておらず、復刻を望む声も多い。

『魔女のよびごえ』の数少ない描写には、ヒロインと思われる少女の目に長く美しい見覚えのあるまつげが! これは『銀河鉄道999』に登場するメーテルを彷彿とさせる。

 青年漫画向けの作品を多く手がけた松本氏だが、描かれる女性ヒロインはどの作品も飛び切り美しかった。その描写力は、昭和中期に多くの少女漫画を手がけてきた実績と経験があるからだろう。

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