■シリアスな問題をコメディタッチに描いた『こどものおもちゃ』
最後に紹介するのは、1994年8月号より連載された小花美穂氏による『こどものおもちゃ』から、主人公・倉田紗南の母親である倉田実紗子と坂井佳子だ。
『こどものおもちゃ』はギャグを多く取り込みながら描かれているため重苦しい雰囲気ばかりではないが、小学生のいじめ、学級崩壊、ネグレクトなどがテーマに盛り込まれており、家族の設定もシリアスな部分がある。
タレント活動をする小学6年生の主人公・倉田紗南は、明るい性格だが生い立ちはヘビー。彼女は生後間もなく公園のベンチに捨てられていた過去があり、その赤ん坊を小説家である倉田実紗子が拾い、自分の子として受け入れたのだ。
紗南の産みの親は坂井佳子。彼女はネグレクトを受けて育ち、14歳のときに紗南を産み、そして捨てていた。
紗南にとってあまりにも辛い過去の発覚だったが、実紗子と紗南は本物の母娘以上に仲良しになっていく。シリアスなエピソードながら、いつも変な髪型をして頭にリスを飼っている変人という、母の奇抜なキャラに読者の心が救われる部分もあった。
今回紹介した3つの漫画のように、『りぼん』黄金期は親の設定が斬新な作品も多く、ストーリーも濃厚だった。漫画の中には重い課題を取り込んでいる作品もあるため、大人になった今読み返すとかつてとは違う視点から楽しむことができるかもしれない。