『ときめきトゥナイト』に『ママレード・ボーイ』今思うと奇抜な設定だった…黄金期『りぼん』のパパママたちの画像
「特別展 りぼん」公式ビジュアル

 1955年8月に誕生した『りぼん』(集英社)は、創刊以来多くの少女読者を夢中にさせてきた漫画雑誌。小中学生女児向けの雑誌だが、恋愛ものやギャグものの中で、その両親はなかなか風変わりな設定、という作品も珍しくなかった。今回は、毎月22日の「夫婦の日」にちなみ、『りぼん』黄金期を支えた漫画から奇抜な設定だったパパママキャラをいくつか紹介していく。

■魔界人と人間の恋を描いた『ときめきトゥナイト』

 まずは、1982年7月号より連載がスタートした池野恋氏による『ときめきトゥナイト』から、第一部の主人公・江藤蘭世の両親で、人間界と魔界を繋ぐ扉の番人をしている江藤望里&椎羅の夫婦を紹介しよう。 

 父親の望里はコウモリを操ったりコウモリ傘に変身したりできる吸血鬼。人間世界では小説家という顔を持ち大人しい性格をしている。一方、母親の椎羅は狼女。狼に変身する以外にも、人の夢を覗いたり天気を操って雷を自在にコントロールしたりする能力がある。

 穏やかで温厚な性格の父と、気性が荒く感情豊かな母。人間界で暮らす魔界人という個性的な夫婦だが、スピンオフ作品の『江藤望里の駆け落ち』では、2人が結ばれるまでのロマンチックなエピソードも描かれている。

 半狼人間だったことで一族から煙たがられていた椎羅は、ある日吸血鬼族と狼族の悪縁について研究していた望里と出会う。望里の吸血鬼の力で半狼人間の呪いも解け、2人は惹かれていく。しかし、同種族でしか結婚できないのが魔界の掟。2人は、人間界への駆け落ちという形で愛を貫いた。娘の蘭世も一途で情熱的な恋愛観を持っていたが、2人の馴れ初めを見ると愛情深く情熱的なのも両親譲りなのだろう。  

■複雑な家族関係が絡み合う『ママレード・ボーイ』

 斬新な設定の親といえば、1992年5月号より連載された吉住渉氏による『ママレード・ボーイ』も外せない。

 複雑な家族関係が主人公たちの禁断の愛を加速させた同作は、目が離せない展開で読者の心を掴んだ。1994年にアニメ化、2001年に台湾でのドラマ化、2018年には日本で実写映画化を果たすほどの人気を博している。

『ママレード・ボーイ』は、主人公・小石川光希が両親に離婚を告げられることから始まる物語だ。その理由は、ハワイで知り合った夫婦とパートナー交換をして再婚したいからというものだった。

 離婚の告知は、「夫婦関係は変化するけど親子関係はかわらないの。今まで通りの組み合わせを両親と思ってくれればいいわけ」「どう? いいプランでしょ?」とあっさり。漫画ではあるが、改めて読むとヘビーさに驚かされる物語のスタートだ。

 さらに、この両親はみんなで一緒に暮らすことを提案した。小石川光希は、そのとき高校1年生。相手家族の子どもは、同級生の松浦遊だった。思春期真っ只中に同級生とひとつ屋根の下の生活が始まり、2人は恋に落ちていく。

 物語が進むにつれ、双方の親が学生時代からの友人だったことが判明する。時を経て、お互いに学生時代の恋人と再婚していたのだ。異母兄弟の可能性が出てきた光希らは思い悩み一度は別れを決断するが、お互いを忘れられず禁断の愛に踏み込むことを決意するのだった。

 光希たちは強い絆で愛を深め大団円になったが、両親にここまで振り回されるのは大変なことである。『ママレード・ボーイ』の裏の主人公は「両親S」かもしれない。

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