■刑事とヤクザのタッグはかなり異色? 壮絶な復讐劇『ウロボロスー警察ヲ裁クハ我ニアリー』

 最後は2009年から『週刊コミックバンチ』(2011年から『月刊コミック@バンチ』(現:月刊コミックパンチ))で連載された、神崎裕也さんによる『ウロボロスー警察ヲ裁クハ我ニアリー』だ。ドラマは、2015年に生田斗真さんと小栗旬さんのW主演で放送されている。

 主人公・龍崎イクオは普段は冴えない刑事だが、いざとなればとてつもない戦闘能力を発揮する男だ。トランス状態に入れば、敵味方関係なく人間離れした動きで攻撃をしてしまう。

 相棒となるのが、我孫子会系松尾組の若頭でもある段野竜哉。優しそうなイクオと違い、段野は冷血なのでちょっと怖いのだが、容姿端麗で常に冷静沈着なので女性にモテる。我孫子会長夫人からの熱烈アプローチシーンは面白かった。

 ともに孤児だった二人は児童養護施設「まほろば」に入っていた。そこで児童の面倒を見ていた柏葉結子に愛情を持って接してもらい、二人は彼女を家族のように慕っていた。しかし、そんな結子は15年前に事件に遭い射殺されてしまう。目撃者だったイクオは段野に話をするも、“金時計をした男”によって事件をもみ消されてしまうのだ。

 そして二人は結子の復讐を遂げるべく、“二頭の龍(ウロボロス)”として警察とヤクザという二大組織に分かれて「金時計の男」を探すようになる。途中でさまざまな事件が入るのだが、基本は「まほろば」「結子」「金時計の男」がキーパーソンとなっており、“復讐”や“臓器売買”など重いテーマが圧し掛かってくる。

 全体的にシリアスなストーリーに見えて、実はコミカルなシーンも多い。意外な人物のつながりや裏切り、公安警察の特殊な強さ(とくに赤鼻!)など、ハラハラドキドキする作品だった。

 

 さて、異色タッグの漫画やドラマは面白いものが多い。『クロコーチ』のように正義感の強い若手ではなく、悪い手を使うオジさんが主役という作品は珍しく、筆者もハマったものだ。もちろん、相棒となる若手の清家管理官も主役のような活躍をするので、余計に感情移入してしまったな。

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