主演・生田斗真さん×監督・三池崇史さんの強力タッグが話題となった、夏ドラマ『警部補ダイマジン』。「ダイマジン」と呼ばれる剛腕の捜査一課のエースが法で裁けない悪人たちに自ら鉄槌を下していくのだが、彼を操る警視正とのコンビに加え、“特命捜査対策班”として活躍する「ダイマジン」が、毒を以て毒を制す様が痛快だ。
9月1日に最終話を迎えた本ドラマ。刺激的な展開にハラハラさせられたが、もちろん原作の漫画も面白い。
さて、そこで今回は『警部補ダイマジン』以外にもある、正義と悪のタッグが実写化された面白い漫画を紹介していこう。
■悪徳刑事と正義感の強い管理官が巨悪を追い詰める! 『クロコーチ』
まずは『警部補ダイマジン』と同じ、原作:リチャード・ウーさん、作画:コウノコウジさんによる『クロコーチ』だ。2012年から『週刊漫画ゴラク』で連載開始され、ドラマは2013年に長瀬智也さん主演で放送されている。
主人公・黒河内圭太(通称:クロコーチ)は県警捜査二課の警部補で、誰もコンビを組みたがらない一匹狼の存在。彼はとにかく人の弱みを握るのが巧い。なにかと情報通であり、政治家をゆすって大金をせしめるという、警察官の風上にも置けない人物なのだ。
相方となるのが県警捜査一課の警視・清家真吾で、東大卒のキャリア組であり、若手ながら管理官という出世ポストに就いている。しかし、上司からクロコーチの内偵を命じられ、彼の破天荒な捜査方針に振り回されていくことになるのだ。
ゆすりを行うオジさんの悪徳刑事と清廉潔白な若い警視の組み合わせはコミカルで、クロコーチに翻弄されながらも通常の捜査ではたどり着けない情報を提供されるなどして、次第に清家もクロコーチを認めていく。
この漫画は、ストーリー設定が面白かった。クロコーチは“悪”ではあるが、それ以上の悪人を捕らえて弱みと金策で味方につけていくし、謎の死を遂げた清家の父が実は極秘の捜査中に殺害されていたなど、謎が謎を呼ぶ展開が見事だった。桜吹雪会や3億円事件、M資金、テロ組織の流れは現実にあったら怖すぎるほど……。
しかし、最大の悪役は序盤から登場する沢渡一成県知事だろう。序盤から逮捕されるも検察も手を焼くほどの権力者で、さらに終盤になるとより権力を増していき、もはや法では裁けない極悪権力者で犯罪者。実はクロコーチが警察に入るきっかけとなった人物であり、最後に復讐を果たすのだが、なんともやり切れないラストだったな。
■華麗なる手口の泥棒と熱血刑事の名コンビが事件解決をしていく『ドロ刑』
泥棒と刑事という異色のタッグが事件を解決していくのが、福田秀さんによる『ドロ刑』だ。この作品は『週刊ヤングジャンプ』で2018年から連載され、同年に中島健人さん(Sexy Zone)主演でドラマ化されている。
警視庁捜査三課に配属された主人公・班目勉刑事は、体格に優れた熱血漢。伝説の泥棒である“煙鴉”を捕まえようとするのだが、なぜか逆に捜査をサポートされてしまう……というのがおおまかなストーリーだ。
この班目刑事の相棒となるのが「ハルト」と呼ばれる初老の男性だ。窃盗に精通し、班目に何度も助言をするため、いつしか相棒となっていく。
班目が追っている“煙鴉”は高級住宅街で一番高価な宝石だけを盗んでいき、痕跡を残さない。家主ですら盗まれたことに気付かないほどの鮮やかな手口なのだが、しかし、わざと現場にタバコの匂いだけを残していくのが特徴なのだ。
謎に包まれた「ハルト」という初老の男は、吸っていたタバコの煙から自分を“煙鴉”と見出した班目に興味を持つようになる。ただ、窃盗という犯罪が多すぎるため、班目も“煙鴉”だけを捜査することができない。
まだまだ新米なので特殊な窃盗犯たちを相手にするには経験値が足りないのだ。そこを上手にサポートするのがハルトの役目で、もちろん、このハルトも班目を利用する目的があるのだが……。
最終回に至ってもまだまだ続きがありそうな展開で終わってしまったことに賛否両論はあったと思うが、とても絵が綺麗なので読みやすい。防犯上で勉強になることも多かったものだ。