宇宙世紀シリーズの『ガンダム』は、ストーリーの根底に「ニュータイプ」の存在が描かれる。ニュータイプは人類の革新とされつつも、兵器として有用なため戦争に駆り出されることが多い。特に、パイロットとして戦うニュータイプは、悲運な人生を送りがちだ。
一方で、パイロットではないキャラクターでもニュータイプのような描写がある場合も。『機動戦士ガンダム』では、ホワイトベース操舵手のミライ・ヤシマや戦争孤児のカツ、レツ、キッカがニュータイプのような描写があった。
さらに、同作のヒロイン枠であり、大人気キャラクターのセイラ・マスもニュータイプとおぼしき描写がある。本日、9月12日はセイラ・マスの誕生日。それを記念して、セイラがニュータイプの片鱗を見せたシーンを3つ振り返ってみよう。
■ニュータイプへの覚醒?「ソロモンの亡霊」を感知
セイラがニュータイプへの覚醒を見せるのは、作中でもかなり後半。明確な描写があるのは第39話「ニュータイプ、シャリア・ブル」のことだ。
ジオン軍に所属するララァ・スンがモビルアーマーのエルメスをテストし、精神波で操るビット攻撃を連邦軍に仕掛けていた。実態の見えない攻撃と時折聞こえる「ラー」という音で、不気味さを感じさせるララァ。為すすべなく攻撃を受ける連邦軍だが、セイラはその攻撃を感知していた。
「ラー」という音を感知しただけなら、ほかの連邦軍兵士も聞いているのでニュータイプとは考えづらい。しかし、ニュータイプならではの稲光のような演出もあるので、ニュータイプへ覚醒したと考えて間違いないだろう。
このときのセイラは、ジオン軍エースパイロットのシャア・アズナブルと兄妹であることがブライトにバレた直後。兄への思い、ホワイトベースクルーとしての思い、ブライトの指揮官としての行動に思いを巡らせ、かなり混乱していたと予想される。そのような人間くさい葛藤の中で、人類の革新とされるニュータイプへの覚醒を果たすのは、なんと皮肉なことだろう。
■ア・バオア・クーで兄の意識を感じる
戦争はいよいよ決戦へとさしかかり、連邦軍とジオン軍の戦力が宇宙要塞ア・バオア・クーに集結する。アムロ・レイが乗るガンダムとシャアが乗るジオングの対決やホワイトベースの総力戦など見どころが多いなか、アムロとシャア、そしてセイラが織りなす人間関係にも注目が集まった。
最終回「脱出」では、ガンダムとジオング両機が大破し、ア・バオア・クー内部でいよいよアムロとシャアが生身でぶつかりあう。一方、Gファイターで戦っていたセイラは、ア・バオア・クー表面のホワイトベースと合流。すぐさま、「兄さん……!」とシャアの意識を感じ取り、迷うことなくアムロとシャアのもとへたどり着いたのだ。
「真の敵はザビ家」と考えていたセイラは「2人が戦うことなんてないのよ!戦争だからって、2人が戦うことは!」とアムロとシャアの戦いを止めに入る。