エンタメ作品には数多くの特徴的な武器が登場するが、それらに“命”が宿り、意思を持って会話をするという場面も少なくはない。現実世界とは一味違う、生命を宿した武器で戦うキャラクターたちについて見ていこう。
※以下には、コミック『チェンソーマン』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■真の名によって解放される圧倒的能力!『BLEACH』黒崎一護&斬月
現在「千年血戦篇-訣別譚-」が放送中の、久保帯人氏の『BLEACH』。2001年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された本作にも、持ち主と信頼関係を築くことで真の力を解放できる特殊な武器が登場する。
ひょんなことから“死神代行”となった主人公・黒崎一護は、死神の世界・尸魂界をも舞台とした戦いに巻き込まれていくのだが、彼をはじめ死神たちが愛用の武器として振るうのが、“斬魄刀”と呼ばれる武器である。
普段は日本刀に近い形状をしているのだが、それぞれが本体の像を持っており、精神世界で対話し信頼関係を築くことで、新たな段階へと成長・進化することが可能だ。
そして、斬魄刀の真の名前を聞き出すことによって「始解」と呼ばれる変化が起こり、形状もそれぞれの個性に合うものに変化。これだけでも十分強力だが、この武器の真価はその先の「卍解」と呼ばれる段階にこそある。精神世界にいる斬魄刀本体をこちらの世界に具象化させ、戦って勝ち、屈服させることができれば、斬魄刀が持つ真の能力を開放することができるのだ。
作中、一護も数々の激闘を経て、自身の斬魄刀の真の名である「斬月」を会得、能力の解放に成功している。見た目も巨大な刃を持つ刀から、鍔を持たない片刃の剣へと変化。そして、持ち主の霊力を喰らって斬撃を飛ばす必殺技「月牙天衝」を手に入れた。
一護の進化はなおも止まらず、「卍解」によって斬魄刀の最終形態である「天鎖斬月」の解放に成功。斬魄刀は今までの巨大な刃から一変、卍型の鍔を持つ黒い細身の日本刀へと変化した。巨大な霊力を小さな刀身に凝縮させたことで、今までの一護を遥かに凌駕する超高速戦闘を実現できたのだ
ちなみに斬月の本体は髭を蓄えた渋い男性の姿をしており、一護は終始彼を「斬月のおっさん」と呼んでいた。快活な一護と寡黙でクールな斬月という、なんとも面白いギャップのコンビである。
■あらゆる物を武器に変える“戦争の悪魔”…『チェンソーマン』三鷹アサ&ヨル
漫画作品のなかには、ほかの生命体を無理やり武器に変えて利用してしまう、とんでもないキャラクターも登場している。
2019年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されている藤本タツキ氏の『チェンソーマン』は、その絶大な人気から2022年より第2部の連載が『少年ジャンプ+』ではじまった。
この第2部に登場する主人公の女子高生・三鷹アサは“戦争の悪魔”・ヨルと融合したことで、自身の所有物を武器に変換し扱う能力を身につける。
これは“自分の物”と判定されたものはすべて武器として利用できる能力で、定規など学生ならではのアイテムはもちろん、生物ですら武器化し、操ることができる。
その代表例が、アサに恋心を抱いていた教師・田中だ。自分に好意がある人間は所有物と見なされるらしく、アサはなんと田中の脊髄を引き抜いて「田中脊髄剣」というとんでもない武器を生み出していた。この際の田中の独特の断末魔、絶叫した頭部が残ったままの刀身……あまりに衝撃的なそれは読者に大きなインパクトを与えることとなった。
ほかには、大金を使って購入した水族館そのものを槍として変化させ、利用するシーンも。この“水族館槍”は二叉槍のような形状をしているが、飼育されていた無数の水生生物たちで対象を貫くという、あまりにも破天荒かつ凄まじい一撃を実現した。
徹頭徹尾、周囲にあるものすべてを戦うための道具として扱う姿は、まさに“戦争の悪魔”といったところで、その意表をついた材料のチョイスには毎回驚かされてしまう。