『ゴジラ』『ウルトラマン』『仮面ライダー』に代表される日本の特撮作品は世界でも人気を博しており、筆者もチビッ子のときには心が躍ったものだ。実はこの特撮作品には、今や日本を代表する大物女優たちも多く出演しており、今思えば豪華なものだった。そこで、特撮作品に出演していた華がある大物女優たちを紹介していこう。
■まだ中学生ながら大女優の片鱗を見せていた『ウルトラセブン』の松坂慶子
まずは1967年から放送された、名作『ウルトラセブン』に出演する松坂慶子さんだ。
第31話「悪魔の住む花」では、当時中学生の松坂さんが宇宙細菌ダリーに体内を侵食され吸血鬼化する少女・香織を演じている。花が好きな可憐な少女と、ダリーに侵食されて自分の意図とは別に人を襲う無表情さを使い分ける見事な演技は、大女優の片鱗を垣間見ることができた。
香織は昏睡状態で意識がないままに吸血鬼化し、入院先となっている地球防衛軍の基地内でウルトラ警備隊や看護婦を襲い、血を吸ったアマギ隊員を連れ出して夜の遊園地にたどり着く。そして、メリーゴーラウンドで二人は幸せそうに微笑み合うのだ。このシーンはとても幻想的で印象に残っている。
ウルトラ警備隊にショックガンで眠らされ、再び基地に連れ戻された香織だが、現代医学では助けることができない。本来は何も悪くない香織はかわいそうだったが、眠っている松坂さんはなんとも可愛らしかった。
アマギが香織をなんとか助けてほしいと懇願するシーンには、心を打たれたものだ。そこでモロボシ・ダンはウルトラセブンに変身し、ミクロ化して香織の体内に入り、ダリーを倒すことで助けられるのではないかと思い立つ。
そして香織の鼻から体内に入るセブンだったが、ここは緊張のシーンだった。当時は、人間の体内なんてよく分からないもの。香織の体内を傷付けないように慎重に行動していたセブンがダリーと対面するシーンでは、なんと勢いよくダイブして登場(!?)。エメリウム光線をダリーの背中に命中させていた……。(いや、暴れるなよと言いたい)
アイスラッガーは使えないとしても、いきなりエメリウム光線とは。外していたら香織は死んでしまっていたかもしれない。とはいえ、命中してもダリーを倒せなかったのだから、きっとかなり威力を抑えていたのだろう。最終的にウルトラバブルでダリーを溶かし、見事に香織を救出することができた。
それにしても、あの可憐な少女がこれほどの大女優になるとはだれが想像しただろうか。再放送で視聴していた筆者ですらそう思うのだから、当時の視聴者たちも驚いたものだろう。
■抜群のプロポーション! フェンシングが得意な『仮面ライダー』山本リンダ
1971年から放送された『仮面ライダー』で、立花レーシングクラブのマリを演じているのが山本リンダさんだ。山本さんは当時、紅白歌合戦にも出場しているほどの人気歌手だった。
もともとモデルとして活動していただけに、抜群のプロポーションでまだ二十歳前後とは思えない色気があったように思う。
マリは立花レーシングクラブに所属しており、一文字隼人(仮面ライダー2号)とも顔なじみだったため、たびたび悪の秘密結社・ショッカーに襲われることもあった。フェンシングが得意なマリの格闘シーンもあったが、本作に登場する女性陣はみんな強いのでカッコよかったな。
『仮面ライダー』にはほかにも、緑川ルリ子役の真樹千恵子さんや、野原ひろみ役の島田陽子さんなど美しい女優が多く登場していた。ルリ子は海外へと赴く本郷猛(仮面ライダー1号)に付いていったため途中で登場しなくなったが、そこで交替で登場したのがマリ・ユリ・ミチの3人だった。
なかでも、マリ役の山本さんは群を抜いて存在感が高かった。ちなみに、筆者は若い頃に所属の上司だった課長と居酒屋で特撮談義になったのだが、彼は「ルリ子が居なくなったけど……マリが来たからホッとした」なんて言っていた。
何十年も時を経てもそういった話で盛り上がれるほど、当時の子どもたちにとって『仮面ライダー』は毎週楽しみで、心に残る番組だったと言えるだろう。