■細かい描写が職人芸『機動警察パトレイバー』
『機動警察パトレイバー』の搭乗演出も、ユニークなカッコよさがある。劇中では固定のバンクは無いものの、OVA版のオープニングでは主人公・泉野明が「イングラム一号機」に搭乗するシーンが描かれている。
スクランブルがかかったのか、イングラム一号機に駆け寄る主人公・泉野明。ここでイングラム一号機が正面から描かれているが、コックピット周りが詳細かつ精密に描かれているのが圧巻だ。
コックピットに乗り込むと、安全バーが降り各種デバイスがせり出してくる。イングラム一号機の外観はスマートだが、コックピット内部は全体的に武骨な作りなのが、未来の機械「レイバー」らしさを感じさせて、よりリアルに思える。
スーパーロボットの派手さは無いが、所々に凝った描写が見える、リアルロボットのカッコよさがある搭乗演出だ。
■第1話で突如登場したヨロイへの搭乗『ガン×ソード』
最後は2005年に放送されたアニメ『ガン×ソード』より、巨大ロボット“ヨロイ”への搭乗演出。
自分の花嫁を殺した男を追って旅する男・ヴァンを主人公にした同作は、テレビアニメ放送までロボットアニメであることがいっさい隠されていた。ヨロイの登場はインパクトが抜群。第1話中盤で、街を襲う無法者の撃退を誓ったヴァンが被った帽子をくるりと半回転させ、手に持った剣を天にかざすと、空から降ってきた巨大な剣がロボットに変形する。第1話は月をバックにした逆光の演出で、ここまででも既にかなりの外連味がある。
そして、剣を突き刺すことでヴァンがコックピットに吸い込まれ、「ウェイクアップ、ダン」という静かに決めゼリフをつぶやくことで、彼のヨロイ「ダン・オブ・サーズデイ」が稼働し始める。
スーパーロボットの外連味と、キザな渋さが合わさった搭乗シーンは、唯一無二かつ、とてもカッコよい。ロボットを発進させるというより、剣を召喚するようなイメージなのもユニークだ。
『ガン×ソード』の作品全体の雰囲気が、ギャグと哀愁を同時に感じさせるのと同じで、搭乗演出も2つのギャップを一度に味わえて、今まで味わったことのない感覚になること請け合いだ。
王道なカッコよさであったり、変化球なカッコよさ。また、よく見ると分かる、隠れたカッコよさ。カッコよさのベクトルが違う4つの作品をピックアップしてみた。この4作品だけでも、甲乙つけがたいカッコよさが感じられる。必殺技演出と同じくらい、搭乗演出もロボットアニメの華である。