エントリープラグをガシャンと挿入、オレンジの液体に満たされていくコックピット、細かいオペレーションのセリフ、そしてスピード感あるリフトでの上昇と、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の搭乗演出は特徴的だ。また1970年代には、「パイルダーオン!」の掛け声で操縦ユニットが本体にドッキングして起動する『マジンガーZ』も、その搭乗演出で多くの子どもたちを魅了した。
シンプルにコックピットに乗り込む『機動戦士ガンダム』シリーズのようなものもあれば、『エヴァ』や『マジンガーZ』のように乗り込むまでが時間をかけて描写されるようなものまで、アニメの機体への搭乗はそれぞれ違いがある。
今回は個性豊かなロボットアニメの中から、特に搭乗シーンが印象的だった作品をいくつか振り返っていきたい。
■機械と神秘の融合『勇者ライディーン』
まずは1975年放送のアニメ『勇者ライディーン』より、「フェード・イン!」と叫びながら搭乗する演出だ。
考古学者の家系に生まれた主人公・ひびき洸が、ある日謎の声を聞いたことで古代ムー帝国が作り出した巨大ロボット・ライディーンと出会い、妖魔帝国に立ち向かう物語。ライディーンは普段は巨大な人面岩の内部に格納されており、ムー帝国の王ラ・ムーの血をひく洸の念動力によって起動する。
バイクで颯爽と人面岩に向かうところから、もうカッコいい。そして「ライディーン!」と呼んだ後に「フェード……フェード…フェード・イン!」とポーズを決めて叫び、バイクとともに洸が空中に浮遊。ライディーンの頭部から不思議な光が放たれ、吸い込まれていくという流れだ。
ライディーンの中に入ってからは一気に神秘的に。バイクの機械感とのギャップもある。そして、ライディーンが洸の雄叫びとともに動き出すのである。
『勇者ライディーン』は全編にわたってオカルト要素に溢れており、ライディーンもまたスーパーロボットであるものの、謎を秘めた遺跡でもある。搭乗シーンひとつとってもそうした神秘的な側面が強調されており、同年代のロボットアニメと比べても異色。機械的なギミックだけでないユニークさを感じる搭乗演出だ。
■普通の教室が基地とロボットに『エルドラン』シリーズ
1991年のアニメ『絶対無敵ライジンオー』をはじめとする『元気爆発ガンバルガー』『熱血最強ゴウザウラー』など『エルドラン』シリーズの搭乗演出も、子ども心をくすぐるかっこよさだ。
それぞれのロボットへの搭乗はまず、ごく普通の小学校がロボットの発進基地へと変形していくところから始まる。体育館の屋根が開き、校庭やプールの床が開き、教室がブロックのように分かれ、各部とドッキングしていく。外観はもちろん、内部の変形もすごい。これまたごく普通の机や椅子が、スイスイとスライドしていき、指令室になってしまうのだ。
ライジンオーのパイロットである日向仁・月城飛鳥・星山吼児の3人は、その後、教室の各所にある通路からコックピットへシュートしていき、その途中で自動的にパイロットスーツへ着替える。
そして3体出撃からの3体合体へと、ワクワクする要素が盛りだくさん。学校の教室あるあるが詰まっている搭乗演出は、小学生狙い撃ちのカッコよさだ。