■もはやプロレスではない… ファミコンがモデルの「キン肉マンVSサタンクロス」
最後は「キン肉星王位争奪編」の、キン肉マンスーパー・フェニックス率いる知性チームのサタンクロスが繰り広げた戦いを紹介していく。このサタンクロスの正体は、悪魔超人界の家庭教師でアシュラマンの師匠でもあるサムソン・ティーチャーだ。
寄生虫超人のサタンクロスを宿した形になったという、少し悲しい設定のサムソン・ティーチャーだが、試合は容赦ない。キン肉マンとの一戦ではいきなりリングのキャンバスを剥がして、魔法陣のリングを浮かび上がらせる。
しかも、リングサイドには何やらファミコンのコントローラーみたいなテーブルが飛び出てくる。当時大ブームだったファミコンがここで登場だ。……というか、いったいいつの間に用意したのだろう。事前に準備している風景を想像するとちょっと笑えてくるな。
この魔法陣には26文字分の「ディフェンド・スーツ」が隠されており、その半分の13個分を相手より早く引き出して装着することで、アドバンテージを得ることが可能になる。
劣勢だったキン肉マンもミート君の裏技(魔法陣ライニング・シグナル)によってディフェンド・スーツを装着できるように。うん?いやいや、よく見るとミート君のジャンプしてからコントローラーのボタンを押す技って……まんま、すがやみつる氏の『ゲームセンターあらし』のようだ。
巨大ハサミや鷹を出現させたかと思えば、挙句の果てには分身までするサタンクロス。もはやプロレスではなくなってしまった。
最終的にサムソンは13個のディフェンド・スーツをすべて装着し、スーパー・フェニックスからも褒められる。しかしスーパー・フェニックスは露骨な罠も仕掛けており、リング外に落ちたキン肉マンに鋭利な針で致命傷を負わせてしまう。
しかしこれに反発したのがサムソン・ティーチャーだ。スーパー・フェニックスといえど戦いの邪魔は許さないとし、正々堂々とリング上で決着をつけることを戦いの身上としていると叫ぶ。
いやいや、そもそも強引にリングを変更したのはお前だし……正々堂々と戦うならプロレスで勝負しろよ。そうツッコまずにはいられなかった。
昭和の名作『キン肉マン』は長期連載だったので、時事ネタは今思うと懐かしい。ちょっとプロレスから外れてしまうのも本作の面白いところである。まあ、そもそも超人なのだから人間と同じような勝負はしないのだろうな。