■自分のことは自分で決める!誰かのいいなりにならない強さ

 最後に紹介するのは、てんとう虫コミックス3巻に収録された「ミチビキエンゼル」というエピソードだ。

 のび太は「しずかと遊ぶべきか」「勉強すべきか」を選べず、ドラえもんにひみつ道具をせがむ。最初は出し渋っていたドラえもんだが、ひみつ道具「ミチビキエンゼル」を取り出した。ミチビキエンゼルは、相談者(のび太)にとって最適な行動を教えてくれるひみつ道具だ。

 のび太はミチビキエンゼルにしたがって行動するが、徐々におせっかいに感じ始める。エピソード内では、しずかのママがのび太に夕食を食べていくように勧めるが、のび太は「迷惑をかけるわけにはいかない」とミチビキエンゼルに相談。ミチビキエンゼルは「アカンベエ」をするように指示し、のび太がそれに従うとしずかを怒らせてしまった。

 帰宅すると、ドラえもんは体内のネジをなくしたことで故障寸前。ミチビキエンゼルは勉強するように言ってくるが、のび太は「今は、ドラえもんのほうが大事だ」「自分のことは自分できめるよ」とミチビキエンゼルを無視。のび太は他人に道を選んでもらうことの危うさを知り、自分で選択する重要さを学んだ。

 ドラえもんの故障シーンからは、いつも以上にのび太の心根のやさしさが伝わってくる。ピンチのときにこそ人間の本質があらわれる、教訓をのび太に教えられる名エピソードばかりだ。

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