■対峙したユニコーンはいつも怖かった『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』アンジェロ・ザウパー
最後に『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』より、フル・フロンタルの親衛隊長を務めるアンジェロ・ザウパーを紹介しよう。
首相官邸でNT-Dを発動したユニコーンガンダムを捕獲するため、親衛隊メンバーとともに一斉射撃を浴びせるアンジェロ。パイロットとしては素人であるバナージの動きをシミュレーション通りだと息巻いて突撃するが、それはバナージの誘いであったことに気づき動揺を見せる。
「奴は普通じゃない 離れろ!」というフロンタルの言葉はもはや届くことなく、至近距離で放ったビーム・ショット・ライフルを避けられ、「化け物め!」と漏らしたのちに四肢を両断されてしまう。
アンジェロ自身パイロットとして優れた存在ではあるものの、このシーンでは無言で迫りくるバナージとユニコーンの鬼気迫ったまさしく“化け物”感を演出するためのかませ犬となってしまった。
また、最終決戦においてはサイコ・ジャマーをもって一時バナージを苦しめたが、マリーダの死をきっかけに覚醒したユニコーンによってサイコ・ジャマーが無効化され、精神感応を起こしたことで自滅する結果となるのである。
ユニコーンと対峙するたびにその恐ろしさを引き出したアンジェロの存在は、本作品において切っても切り離せないものであったと言えるだろう。
主人公のライバルのように、物語全体を通して名勝負を繰り広げるキャラもいれば、派手な振る舞いをする割に数話であっさり退場してしまうキャラもいる。
しかし簡単に退場するとはいえ、そうしたかませ犬キャラが視聴者に残す印象は非常に強く、物語全体を思い出すときの繋ぎのような役割を果たしているようにも思える。
『ガンダム』シリーズは、そうした些細なキャラが独特の魅力を持っているからこそ多くのファンを生み、今日まで長く愛されているのではないだろうか。