敵味方問わず、多くの魅力的なキャラクターが登場する『ガンダム』シリーズ。新型や専用MSに搭乗し颯爽と現れるも、あっさりとした幕引きで主要キャラの引き立て役として展開を盛り上げる、悲しき“かませ犬キャラ”も多く存在する。
今回は『ガンダム』シリーズより、物語を大いに盛り上げてくれた愛すべきかませ犬キャラをいくつか紹介したいと思う。
■歴戦の猛者でもアムロの前では踏み台に…『機動戦士ガンダム』ガイア
まずは、初代『機動戦士ガンダム』より、ガイアを紹介しよう。
ジオン軍のドム3機からなる「黒い三連星」の異名を持つ小隊に所属するガイア。ジェット・ストリーム・アタックという必殺技感溢れるフォーメーションを持ち、実戦慣れしたその老獪さが脅威となりそうな印象を受けたキャラクターである。
第24話「迫撃!トリプル・ドム」での初登場を経てアムロと対峙したガイアは、ホワイトベースの安否を気にするアムロの動きを見て「連邦のMS、噂ほどではないわ」とアムロの力量を見誤ってしまう。
その後、ガンダムにジェット・ストリーム・アタックを仕掛けるが、2発のバズーカ射撃を外したうえ、オルテガのバズーカを損失してしまう。しかしガイアは笑みを浮かべ「いけるぞ!」と、再びジェット・ストリーム・アタックを仕掛けるのである。
2度目もアムロの驚異的な反射の前にジェット・ストリーム・アタックは失敗し、挙句マッシュまで失ってしまうという最悪の結果に……。
3対1という戦況を切り抜けたアムロの驚異的な操縦技術を際立たせることとなった、黒い三連星の初戦闘シーン。のちに名言としてたびたび挙げられる「ああ! 俺を踏み台にした?」というセリフを残したことだけが、ガイアの偉大な功績かもしれない。
■ゲスト声優であることが早期退場の要因か?『ガンダムSEED』ミゲルとハイネ
続いては2024年に新作映画の公開が決定した『機動戦士ガンダムSEED』シリーズより、ミゲル・アイマンを紹介しよう。
連合の新型MSを強奪するためにヘリオポリスに侵入した、ミゲルらザフトの若き兵士たち。ナチュラルを見下す差別意識の強いミゲルは、一度強奪に失敗したストライクガンダムをその手で捕獲しようとするも失敗。
再度出撃して再び挑むも、背後から飛んできたビームブーメランに脚部を切られた隙を突かれ、ストライクの対艦刀で真っ二つとなり戦死してしまう。ミゲルはストライクの多彩な性能を披露するためのかませ犬として扱われ、3話目で早々に退場してしまうのだ。
良く通る声で叫ぶシーンが多かったミゲルの声は、歌手の西川貴教さん(T.M.Revolution)が担当している。西川さんは『ガンダムSEED』オープニングテーマ「INVOKE -インヴォーク-」を歌唱しているが、その際、監督から“せっかくだからキャストでも出てほしい”と依頼を受けたそうだ。
ミゲルが早々に退場したのは、西川さんが声優を本業としていないからなのか?と、当時は勘ぐってしまったものだ。その想像を助長するものとして挙げられるのが、同じく西川さんが声優を務めた、続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場したハイネ・ヴェステンフルスの存在である。
エースパイロットとして物語序盤で登場し、面倒見の良い先輩キャラとしてアスランからの信頼も厚かったハイネ。長く活躍することを期待されていたが、戦場を無双するキラのフリーダムに右腕を落とされ、背後から迫ったガイアガンダムにあっさりと真っ二つにされて戦死してしまう。
要は、西川さんが声優を務めたミゲルとハイネ両者とも真っ二つになり、直後はアスランがその名を叫ぶという悲しきパターンが完成してしまったのだ。
ストライクやキラの強さを際立たせるとともに、ゲスト声優が担当するキャラクターの扱いを気にしてしまうようになったきっかけとして、視聴者に深く印象を与えたのではないだろうか。