『幽☆遊☆白書』『宝石の国』『ONE PIECE』でも! うらやましいが悲劇を招く…「美しい涙」を流すキャラの画像
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 宝石の真珠は「人魚の涙」と呼ばれ、鉱石とはまた違った美しさを放っている。「人魚の涙」はあくまで美しさの比喩であるが、漫画に登場するキャラクターの中には、流した涙が別のものに変化するという幻想的な設定を持つものも少なからず存在する。

 彼女らの存在は貴重であるがゆえに、命を狙われることも多い。今回はそんなレアな涙を流す悲劇的な運命を背負ったキャラクターを紹介したい。

 まずは、冨樫義博氏の漫画『幽☆遊☆白書』から雪菜。飛影の双子の妹である彼女は初登場時、宝石商の垂金権造に監禁されていた。それは彼女の流した涙が「氷泪石」と呼ばれる高価な宝石に変化するためで、雪菜は触るとヤケドをしてしまう呪符により氷泪石を無理やり作らされていた。

 アニメではぼたんが「闇値で軽く数億円はする宝石」と説明しており、垂金は氷泪石で得た金で大儲けをしていた。

 雪菜が涙を流すたびにコロコロと氷泪石がこぼれるさまは、美しいのだが悲しみにあふれていて、中でも世話係や仲のいい小鳥が殺されて涙を流す雪菜の姿は見るに絶えない。

 しかしこの石には金額以上に別の価値がある。それは氷泪石を見ると心が浄化される作用があるということ。飛影や躯はこの石で心を癒していた。読者たちも、ほんのひとかけらでもいいからどうしても欲しいと思ったことだろう。なお飛影が持っていた氷泪石のネックレスは過去にグッズ化もされている。

 続いては、市川春子氏による漫画『宝石の国』の主人公・フォスフォフィライト。

 宝石たちの中で一番年下でひときわ脆いフォスフォフィライトだが、宝石たちが眠る冬の間、アンタークチサイトとともに冬の仕事を手伝っていた。

 腕を失ったフォスフォフィライトは金と白金の合金を体に繋ぐが、そうこうしてしている間に敵である月人が襲いかかってきて、アンタークチサイトがさらわれてしまう。

 アンタークチサイトがいなくなって冬から春に変わるとき、フォスフォフィライトは「ここから漏れる合金だけなぜだか制御できないんです」と先生の前で黄金色の合金の涙を流した。

 腕が合金になったフォスフォフィライトは流す涙も金色だった。美しくも悲しい別れのシーンだ。

 なお、このセリフに対して先生は「これは古代生物の欠陥で、お前のせいではない」と返している。古代生物とは人間のこと。人間の流す涙は欠陥なのかと、深く考えさせられる展開だった。

 このほか変わった涙を流すキャラクターとして、『ONE PIECE』の「チユチユの実」の能力者・マンシェリーは、涙など自分の体から出る水分で生物の傷を癒やすことができる。しかしその能力は効き目が一時的なものであったり、治療のために自らの寿命を削ったりと、必ずしも万能なものではない。

 また『王ドロボウJING』でジンとキールが最初に訪れた「ドロボウの都」で出会った人魚の姿をしている結晶生物のシードルは、嬉しいときに流す涙は(アニメのみの設定ではあるが)宝石になる。

 どの涙も希少性が高く、つい欲しくなってしまうものばかりだが、それゆえに命が狙われる可能性も高いとなると、一概にうらやましいとは言えないかも?