■夜更かしの代償が大きすぎる…「夜のない街」

 鉄郎たちが旅をしていく惑星にはさまざまな特色があり、それに根ざした奇妙な法律が登場することがある。“”という言葉がある一方で、あまりにも極端かつ苛烈な法が定められた惑星を紹介しよう。

 それが、鉄郎らが立ち寄った「夜のない街」だ。ここでは、夜にまつわる“完全睡眠法”という奇妙な法律が存在しており、なんと夜間に外出してしまうと“即逮捕”、さらに抵抗すれば射殺・逮捕されることもあるという。

 なにか悪巧みをしたわけでもなく、ただ夜に外に出ただけで問答無用で捕まってしまうのだから、住民からしたら気が気ではない。外出すれば罰せられてしまうため、必然的に住民たちは大人しく各々の家で夜を過ごすことしかできない。停車駅名の“夜のない”という言葉は、この奇妙な生活スタイルに起因していたのだった。

 作中、鉄郎はこのルールを破り外に出てしまうのだが、ひょんなことから人々が夜に出歩かない真の理由を知ってしまう。

 実はこの惑星にはドラゴンにも似た巨大生物・へローンが住んでいた。へローンは極度の恥ずかしがり屋で人の姿を見ると湖へと逃げてしまう。そのため、彼が夜中に外を出歩きやすいよう、あえて法を作り上げて人々を家のなかに押し込めた……というわけだ。

 惑星で暮らす人間たちからすればいささかやりすぎな法に思えるが、心優しき巨大生物・へローンとの関係性を思うと見え方が変わってくるものである。

 

『銀河鉄道999』にはさまざまな特徴を持つ惑星たちが登場するが、今回紹介したのはどれも我々が暮らすにはちょっと難があるものばかりだ。そこに暮らす異なる人種や、独自の風習を前に、鉄郎が悩み葛藤していく様子も、本作の大きな見どころといえるだろう。

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