■実はアニメとの親和性高し? 『コクリコ坂から』風間俊介
2011年に公開された『コクリコ坂から』は、佐山哲郎さんが原作を、高橋千鶴さんが作画を担当する漫画をもとに作られた作品である。
ストーリーや登場人物の設定、時代背景などは原作から大幅に変更されており、社会のさまざまなものが世代交代で移り変わろうとしている1963年の横浜を舞台に、自分たちが進むべき“未来”について葛藤する少年少女たちを描いた群像劇だ。
本作には前述の岡田さんも声優として参加しているが、ほかにも声優にジャニーズタレントが起用されている。それが、主要キャラクターの一人である水沼史郎を演じた風間俊介さんだ。
風間さんはテレビドラマ『3年B組金八先生』の第5シリーズにて兼末健次郎役を演じ、第3回日刊スポーツ・ドラマ・グランプリ新人賞を受賞したことをきっかけに俳優として、テレビドラマに出演することが多くなっていった。
加えて、実は風間さんは『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された名作漫画を原作とした『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』にて、主人公・武藤遊戯の声を2000年から長きにわたって演じており、声優としても活躍している。
そんな風間さんが『コクリコ坂から』にて演じた水沼史郎は、生徒会長を務める頭脳明晰な“秀才キャラ”でありながら、学校側が振りかざす権力に反旗を翻す団体の中心人物として活躍する、真面目でありながらどこか一癖ある人物だった。
「諸君!時間だ」、「行きたまえ」など、どこか歳不相応のキザな言い回しが目立つ水沼だが、風間俊介さんの演技も相まって、初登場時から視聴者に強烈な存在感を示すこととなる。
どこか浮世離れした強烈な個性を秘めたキャラクターではあるものの違和感なく作品のなかに溶け込んでいるのは、彼を演じる風間さんの演技力の高さゆえだろう。アニメ声優として長年培った実力を、ジブリ映画でもいかんなく発揮したジャニーズタレントである。
ジャニーズタレントといえば歌にダンスに俳優と幅広い分野で活躍しているが、昨今ではゲームやアニメの声優として活躍する場面も少なくはない。アニメの世界で活躍する彼らの“新境地”とも言える演技の数々に、ぜひ注目してみてほしい。