■オスカルを射止めた男「アンドレ」の前では冷静ではいられない!

 オスカルのもっとも可愛らしいシーンといえば、アンドレの着替えの最中に部屋に入ってしまう場面だ。司令官室を開けたオスカル、すると濡れた体を拭くアンドレの裸体が目に飛び込んでくる。

 オスカルは目を白黒させ、「無礼者ーーっ!!」とドアを閉め叫ぶが、心臓はドキンドキンと鳴りやまない。そして「あ…あの胸に…わたしはいままでへいきで顔をうずめてきたのか……」と、頬を赤らめるのだ。『ベルばら』のなかでも屈指の印象的なシーンだろう。

 ほかにも可愛らしいとは言えないものの、オスカルがアンドレを想い、冷静さを欠くシーンは多々ある。物語中盤、アンドレは黒い騎士に襲われ片目の視力を失う。その後オスカルが黒い騎士と対峙するとき、「お…おまえがわたしのアンドレにしたとおなじようにしてな!」と、怒りをあらわにムチを振り上げている。

 また、オスカルはアンドレと馬車で移動中、市民に襲われるシーンがある。危ないところをフェルゼンに助けられ、逃げるよう諭されるオスカルだが、「はなせっ アンドレが わ……わたしのアンドレ…!!」と抵抗するのであった。

 オスカルとアンドレの恋物語は漫画の後編に急展開するように見えるが、実はストーリー全体を通してオスカルがアンドレを思うシーンは随時登場している。最初のうちはアンドレを男性として意識しておらず、先に挙げたフェルゼンに心を奪われたりもしたオスカルだが、心の距離は確実に縮まっていっていた。

 そして、フランス革命が起こる直前に結ばれた二人。そのときのオスカルは、まさにアンドレの“妻”としての可愛さ、女性らしさに満ちていたように思う。

 

 軍人として育てられ、剣術にも優れていたオスカル。その強さと美貌から多くの女性からも愛されてきた。しかし、紹介してきたような彼女の女性としての可愛らしいシーンは、男勝りな普段の姿とのギャップも相まってとても魅力的だ。

『ベルサイユのばら』には、ほかにもオスカルの可愛らしいシーンが登場する。カッコいいだけでなく、チャーミングなオスカルもぜひチェックしてみてほしい。

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