オスカルは、今なお人々に愛され続けている少女マンガの名作、池田理代子氏が手がけた『ベルサイユのばら』の主人公だ。オスカルといえば男装の麗人であり、多くの女性を虜にし本気で愛されていた。
しかしそんなオスカルにも、女性である自分を隠しきれない可愛らしいシーンが登場する。彼女の幼なじみで従卒であるアンドレとのラブストーリーは有名だが、ほかのキャラクターの前でも女性としての意外な一面を見せていたりする。今回は、そんなオスカルが見せた意外な可愛すぎる行動をいくつか紹介していこう。
■オスカルの初恋!「フェルゼン」の前で見え隠れする女心
フェルゼンは本作に登場する容姿端麗な貴族で、最終的にマリー・アントワネットと道ならぬ恋に落ち、王妃のために一生を捧げた人物として知られている。
そんなフェルゼンに惹かれていくオスカルの混乱ぶりが、「ゆるされざる恋」編で描かれている。オスカルは、アメリカ独立戦争へ向かったフェルゼンがなかなか帰国しないことにイライラしていた。そして、酒場で酒におぼれているところに市民が絡み、フェルゼンに対しての苛立ちをぶつけるかのようにオスカルは乱闘騒ぎを起こす。
相手を殴りながら「フェルゼンのばかやろう!!」「地獄へ行っちまえーっ!!」と泣き叫ぶオスカル。帰国しないフェルゼンへの心配や、秘めた思いが見え隠れするシーンだ。
さらにフェルゼンへの切ない乙女心が分かるのが、彼とのダンスシーンである。オスカルは外国から来た伯爵夫人に扮して舞踏会に出席するのだが、その美しい姿に惹かれたフェルゼンはダンスを申し込む。
手を取り合い踊る二人……その間オスカルは「うそではない…女性としてのわたしを抱いているのは 夢にまで見たフェルゼンの腕……!」と、あらためて心を奪われる。そのときのオスカルの表情は、まさに恋をするキュートな女性そのものだった。
■ストレートに求愛されたらかなわない!? オスカルが見せた女性としての弱さ
オスカルはストーリーの中盤で、元部下のジェローデルから求婚されている。もともとは父の策略から生まれた求婚だったが、ジェローデルは本気でオスカルのことを愛していた。
近衛隊を退いたあと何事もうまくいかず自暴自棄になっていたオスカルに、ジェローデルは「わたしのこの胸でよければ…いつでも…いつまでもあなただけをうけとめる用意がある」と囁きかける。それを聞いたオスカルは弱き乙女の顔になり、ジェローデルと口づけをかわすのであった。
しかしキスをしているなか、オスカルは我に返り「わたしの知っているくちづけは…」と、アンドレを思い浮かべる。2人の男性によるキスを比較し、アンドレを想いながらズキッと胸を痛めるシーンはなんとも乙女だろう。
オスカルの女性としての可愛らしさと弱さが垣間見える、一連のシーンだった。