小花美穂『水の館』に槙ようこ『ソラソラ』も… 『りぼん』“読み切り”ながらも今も心に残る名作たちの画像
「特別展 りぼん」公式ビジュアル

 少女漫画から恋愛を学んだ……という女性は、意外と多いのではないだろうか。かくいう筆者も、『りぼん』(集英社)を愛読し、数々の名作たちから恋愛や友情を学んだ1人である。そこで今回は『りぼん』に掲載されていた1巻完結の“読み切り”作品のなかから、かつて少女たちの心をぐっと掴んだおすすめの名作たちをご紹介していこう。

■『こどものおもちゃ』のキャラが演じていた!? 小花美穂『水の館』

 小花美穂氏といえば、『りぼん』を代表する漫画家の一人だ。彼女の数々の名作のなかでもとくに人気があるのが、1994年から連載された『こどものおもちゃ』(以下『こどちゃ』)だろう。“子ども”を題材にした作品ながらダークな内容も盛り込まれており、今もなおファンに愛されている。

 そんな『こどちゃ』のなかで、主人公である人気子役タレントの倉田紗南と、同じく売れっ子の子役・加村直澄が出演していた映画を“読み切り”として発表したのが劇中劇『水の館』という作品だ。とはいえ、ストーリー的には本作とはまったく関係がなく、『こどちゃ』を知らない人でも、『水の館』は十分に楽しめるものとなっている。

 本作は「ホラー映画作品」なだけに、読んでいくうちにハラハラしてしまうような展開に引き込まれる。根本にあるのは“愛情”なのだが、そこに潜む薄暗い感情も描かれており、当時読んだ小中学生にとって印象深い作品となったようだ。

■代表作とのギャップに驚く? 藤井みほな『秘密の花園』

 続いては、『GALS!』で知られる藤井みほな氏の『秘密の花園』だ。明るくエネルギッシュな印象の強い藤井氏の作品群のなかでは、珍しい作品かもしれない。

 主人公の檜山美園が出会った美しい少年・花堂朔耶。中学生ながら日本有数の長距離ランナーとして活躍する美園は、陸上の合宿先で偶然朔耶と出会う。その後も距離を縮めていくふたりだが、朔耶は実は女性という“秘密”を抱えていた。

 本作の見どころはとにかく絵柄が美しいところだろう。登場人物が美形ばかりで、女性同士の秘めた恋愛をしっとりと味わうことができるのだ。

 当時リアルタイムで本作を読んであまり理解ができなかったというファンも、大人になって読み返して物語の奥の深さに驚かされたといい、名作として評価されている作品だ。

  1. 1
  2. 2