意外と多いクリエーター同士! 漫画家同士で結婚した夫婦の驚きのエピソード「かめはめ波」の発案も!?の画像
画像は『なかよし』1993年1月号 (C)2008-2015 Kodansha Ltd. All Rights Reserved.

 作家や芸術家などクリエーター同士で結婚した夫婦には、同業ゆえの驚きエピソードや意外な創作秘話も多い。それが漫画家同士ともなればネタも豊富で、そのペンから生まれたコミカルな実録漫画や作品などで私たち読者を楽しませてくれる。

 なかでも、『HUNTER×HUNTER』などの冨樫義博さんと『美少女戦士セーラームーン』の武内直子さんは「ビッグネーム夫妻」として有名だ。そんな二人の結婚生活については、武内さんが『YOUNG YOU』で執筆していたコラム漫画『〇〇ぱーんち!』シリーズで詳細が描かれており、『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の萩原一至さん主催によるパーティーが出会いのきっかけだったとのこと。長髪の冨樫さんを「オタクっぽい人」と思ったという武内さんだが、後に冨樫さんを義博王子、自身を直子姫と称しながらそのラブラブっぷりを披露している。

 結婚式の引き出物に互いのキャラで同人誌やカレンダーを作ったり、業者がマンションの値引きを申し出た際に冨樫さんが「お金あるから、まけてくれなくていいよ」と断ったりなど浮世離れしたものが多いなか、漫画家同士ならではのエピソードがおもしろい。武内さんのコラム漫画によると、自身の漫画キャラクター「めかちゃん」の初期デザインを夫・冨樫さんが担当したうえ、アイテムやワザのアイデアも一緒に考えたという。

 そんな夫妻は2022年に、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)で開催された『HUNTER×HUNTER』と『美少女戦士セーラームーン』2作品のコラボイベントのために、それぞれの主人公・ゴンと月野うさぎを描いた色紙を公開。連載漫画以外でも、さまざまな場面で多くのファンを喜ばせ続けているようだ。

■漫画家同士ゆえの助けあい! あの有名な必殺技やキャラクターは…

 夫婦が同業者の場合、互いに意見やアイデアを出し合い、仕事(原稿)を手伝うこともあるようだ。たとえば漫画『ドラゴンボール』では、悟空の必殺技である「かめはめ波」という名前を考えたのは鳥山明さんの妻・みかみなちさんだという(資料集『ドラゴンボール大全集』ほかで発言)。みかみさんは『上を下へのロックンロール』などの少女漫画家で、『聖メフィスト混乱伝』のコミックス帯には「アラレちゃんの内助の功がマイコミックスに!」と書かれている。

銀河鉄道999』などSF漫画の巨匠と称される松本零士さんの妻と言えば、『悪女聖書(バイブル)』や初代リカちゃんの監修でも知られる漫画家・牧美也子さんである。ふたりは手塚治虫さんのアシスタントを切っ掛けに知り合い、結婚。1960年代には少女漫画を描いていた松本さんが、牧さんとの合作漫画『銀のきのこ』や『おやゆびひめ』などを発表しており、後に「夫婦コラボ展」などで当時の原稿を展示していた。

 少年漫画や『サラリーマン金太郎』など青年誌でも知られる本宮ひろ志さんは、自身の作品に登場する女性キャラ(の下書き)を妻である漫画家・もりたじゅんさんが描いていることを公言している。もりたさんは一条ゆかりさんや弓月光さんと同期であり、少女漫画やレディースコミックなど多くの作品を描いた実力作家。ちなみに、本宮さんが政治家を目指すドキュメンタリー漫画『やぶれかぶれ』では、夫の暴挙を止めようとする妻・もりたさんの姿も描かれていた。

 一方、互いの作品に「得意分野」で参加しあう漫画家夫婦もいる。『エリア88』など戦闘機漫画を得意とする新谷かおるさんの妻は、『緋の稜線』をはじめとした少女漫画やレディースコミックを手がける佐伯かよのさんだ。夫妻はたびたび互いの作品に参加しており、『エリア88』の重要キャラ・ジュリオラなどでは佐伯さんの、反対に佐伯さんの『ハロー!マリアン』では軍人や戦車などに新谷さんのタッチが確認できる。またヴァンパイアを描いた『QUO VADIS〜クオ・ヴァディス〜』では、原作を新谷さん、作画を佐伯さんがそれぞれ担当していた。

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