ご近所付き合いは昔と比べて、ずいぶんと希薄になった。とはいえ、やはり“お隣さん”との関係が大事なことに変わりはない。
漫画やアニメの世界にもご近所付き合いがあり、主人公の隣人として物語に深く関係してくる煩わしいような、うらやましいようなお隣さんキャラも存在する。そこで今回は、漫画やアニメに登場する個性あふれるお隣さんキャラを3人紹介しよう。
■『タッチ』浅倉南
まずはじめに、あだち充さんの『タッチ』に登場する浅倉南を紹介する。もちろん主人公・上杉達也のお隣さんで、物語のヒロインだ。上杉家と浅倉家は家族ぐるみの仲。仲が良すぎて互いの敷地に境界線がなく、さらには、共同出費で子ども用の家を建てるほどだ。ここまでお隣さんと良好な関係は、なかなか現実世界では難しいのではないだろうか。
南ちゃんについては、言わずもがな漫画界を代表するような美人キャラである。文武両道を地で行くような高校生で容姿も端麗、しかも、自分が美人でありモテていることを自覚しつつ、誰とでもフレンドリーに接し、そこに嫌味がない。料理も上手で、達也と和也にはたびたび弁当を作っている。
こんな女の子が小さい頃から幼馴染として隣に住んでいて、お互いを意識し合っている関係というのはうらやましい限りだ。双子とはいえ男の子が2人と、かわいい女の子がいれば三角関係になるのは自然な流れだ。あえてデメリットを挙げるとしたらそこではないだろうか?『タッチ』では物語の序盤、和也が不慮の事故で亡くなってしまったため三角関係は解消されている。しかし、もしも和也が生きていたとしたら、結構な泥沼になっていたかもしれないと思う。
■『めぞん一刻』四谷さん
次は、高橋留美子さんの『めぞん一刻』に登場する四谷さんを紹介したい。東京郊外にある時計坂という町にある木造アパート「一刻館」に住む主人公・五代裕作のお隣さんだ。
四谷さんは、職業不明、年齢不詳、下の名前もわからない実に謎の多いキャラ。『ビッグコミックスピリッツ』2010年第10号に掲載されたインタビューでも、作者の高橋さんでさえ「四谷さんの仕事は、いまだにわからない」と語っているほどだ。
四谷さんがお隣さんであることは、やはりデメリットが多そうだ。彼の趣味はのぞき、特技はたかり。部屋の壁に穴を開け、隣の住人の私生活にいろいろと干渉してくる。穴を塞いでもまた開ける。漫画だから五代が嫌がるだけでギリギリ許されているが、リアルだととっくに捕まっていてもおかしくないだろう。
なかでも五代にとっていちばん迷惑そうな点は、憧れである管理人さん・音無響子とのことについて、四谷さんがあることないこと騒ぎ立ていろいろ茶化したあげく、それを響子本人にも伝えるところではないだろうか。
四谷さんをはじめ、一刻館の住人はクセが強く、同じアパートで暮らしていくのはなかなか大変そうだ。しかし一度馴染んでしまえば、抜け出せなくなるくらい楽しそうでもある。