■とにかく制圧前進あるのみ!『北斗の拳』サウザー
原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏による超人気作の『北斗の拳』にも、“肉を切らせて骨を断つ”を体感させるキャラがいる。それが南斗聖拳最強の男である聖帝サウザーだ。聖帝に脇役などと銘打てば、こちらが無事では済まないかもしれない。なにせ聖帝様はアリの反逆すらも許さぬのだから。
……まあそれはいいとして、彼は主人公・ケンシロウとの初対戦にて勝利をおさめている。わざと秘孔を突かせ自分には効かないことを見せつけ、ケンシロウを動揺させたうえで逆に強烈な攻撃をお見舞いしたのだ。結果としてケンシロウは深手を負い、囚われの身となってしまう。
この場面、リアルタイムで作品を読んでいた筆者は衝撃を受けたな。まさかあのケンシロウが完膚なきまでにやられるなんて……。シンとの回想シーンを除いて初めての敗北だったし、その後のシバが助けに来る展開にも涙が止まらなかった。
そんなサウザーの戦闘スタイルは、本人も言っている通り“制圧前進あるのみ”。初戦のときもケンシロウの攻撃を受けながら十字拳で反撃するという、まさに“肉を切らせて骨を断つ”戦いぶりを見せていた。構えすら“防御の型”だといって否定し、とにかく前へ前へ行く戦いぶりには、思わずシビれてしまったものだ。
漫画ではことわざを体感できることがあるので勉強になるものだ。“肉を切らせて骨を断つ”展開はバトル漫画にありがちだが、主役はもちろん脇役が使用してこそ面白さも倍増するように思う。