漫画のキャラがさまざまな“制約”を負わされることは少なくないが、その中でも妙に印象的なのが「心臓」にまつわるものだ。“心臓=生死に直結する”というイメージがあるだけに、そうした設定には思わずドキッとさせられてしまう。今回はそんな”心臓に制約をかけられたキャラ”の中から、異なるタイプを3名選んで紹介していこう。
■『HUNTER×HUNTER』クルタ族の生き残り・クラピカ
“心臓に制約”といって一番に頭に浮かぶのは、やはり冨樫義博さんによる『HUNTER×HUNTER』のクラピカだろう。整った顔立ちと知的な振る舞いが印象的で、本作でも人気が高いキャラクターの一人だ。
クラピカは具現化系の念能力者で、自ら生み出した5本の鎖を駆使して戦う。幻影旅団によって滅ぼされたクルタ族の最後の生き残りでもあり、同胞の仇を取るため一人で幻影旅団を倒すことを決意した。
そんなクラピカが幻影旅団を倒すためにした“制約と誓約”が、鎖のうちのひとつ・束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)にまつわるもの。この鎖は捕らえた者を“絶”状態にして戦闘能力を奪うものなのだが、クラピカは“幻影旅団以外に使うと死ぬ”という条件を自身で設定したのだ。対象に掟を宣告し、それを破った場合に死を与える鎖・律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)を、自身の心臓に打ち込んだ形である。
自身の命を代償としているだけあって、その能力は尋常ではないほど強力だ。クラピカがそれだけの覚悟をもって行動している証だといえるだろう。
中性的な容姿で女性ファンも多いキャラであるが、幻影旅団に対する冷徹な行動のギャップも人気の秘密なのかもしれない。
■『キャプテン翼』悲劇の天才・三杉淳
高橋陽一さんの『キャプテン翼』は、サッカー漫画の金字塔として知られる作品だ。世界的にも大ヒットし、元サッカー日本代表の中田英寿さんをはじめとして、本作に影響を受けたという有名プロサッカー選手も多い。
本作に登場する三杉淳は、主人公・大空翼のライバルとして立ちはだかったキャラである。すぐれた技術はもちろん、キャプテンとしての統率力や戦術眼も兼ね備えた素晴らしい選手だ。その一方で心臓の持病があり、短い時間しかプレイできないというハンデを背負ってもいる……。
“フィールドの貴公子”、“ガラスのエース”などと呼ばれた悲劇の天才で、当時から人気があった三杉。そんな彼の魅力は、自分の境遇にもめげずひたむきに努力を続け、どんなときも戦い抜こうとする力強い姿勢だろう。
小学生のときは数分しかプレイできなかった彼だが、中学3年の頃には努力の甲斐あって30分のプレイが可能に。その後高校時代をリハビリに費やした結果、心臓病を克服し全試合フル出場を果たすまでになる。
彼はただでさえ魅力的ではあるが、心臓病という大きすぎるハンデがあったからこそ、よりいっそう輝いた面もあるのではないだろうか。