■『ONE PIECE』死の外科医トラファルガー・ロー
最後に紹介するのは、尾田栄一郎さんによる大ヒット漫画『ONE PIECE』に登場する、”最悪の世代”の一人かつハートの海賊団船長のトラファルガー・ローである。
彼は高い戦闘能力の持ち主だが、医者という立場にあるため殺人は好まない。「オペオペの実」の能力者で、一定範囲に“サークル”という特殊な空間を発生させ、その内部にあるものを思うがままにできる“改造自在人間”でもある。
そんな彼が使用する技のひとつ“メス”は、対象の心臓を生きたまま取り出すことができるというもの。心臓を抜かれた本人はいつも通り活動できはするものの、当然心臓を傷つけられるとダメージを負ってしまう。潰されでもすれば死亡してしまうわけである。
ローは作中でたびたびその技を使った交渉などをおこなっているが、「パンクハザード編」ではなんと自身の心臓を差し出す羽目になっていた。これはシーザーと契約した際、“お互いの弱みを握る”ためにシーザーの秘書・モネの心臓と自身の心臓を交換する流れになったためだが、いやはやとんでもない行動である。
こうしてみずからハンデを負ってしまったローは、思うように実力を出せず苦戦を強いられてしまった。その後、心臓を取り戻してからは圧倒的な強さを発揮するが、もし取り返せなかったら……と考えると恐ろしい。しかしそのおかげで程良い緊迫感が生み出されたのだとも思う。
さまざまな事情で“心臓に制約をかけられた”キャラたち。心臓という大切な部分にハンデを背負わされることで、あるときはドラマが生まれ、またあるときは緊迫感がプラスされる。こうした設定は彼らをよりいっそう印象付けるのに一役買っているともいえるのではないだろうか。