■宇宙戦闘では活躍が難しい…?
ガンタンクは、遠距離砲撃が活かせる条件において無類の強さを発揮するが、宇宙空間では取り回しがしづらく活躍の場は少ない。陸地では対応力が高いキャタピラによる移動も、宇宙では意味をなさない。そればかりか、下半身は「重り」以外の何物でもなく、低機動・低運動性の鈍重なモビルスーツになってしまう。
第32話「強行突破作戦」では「もっともダメージが少ないパイロット」を出撃させるという流れから、ハヤト・コバヤシがガンタンクで出撃する。しかし、高機動モビルアーマー・ザクレロの前には自慢の120ミリ低反動キャノン砲を撃つこともできず、手も足もでなかった。そもそも120ミリ低反動キャノン砲は回頭できないため、動き回る相手に照準を合わせるのは簡単ではない。
ガンダムの援護があったから無事で済んだが、ガンタンク1機のままでは何もできずに撃沈していただろう。ザクレロのパイロットであるデミトリーは、ガンタンクを「モビルアーマーの出来損ない」と呼んだが、あながち間違ってはいないかもしれない。
このようにガンタンクは、モビルスーツでありながらキャタピラで移動する特殊な機体だ。連邦軍も8機の製造にとどめ、生産を中止している。しかし、局地的な活躍を期待しているのか、陸戦強襲型ガンタンクやガンタンクIIなど、意外にも多くのバリエーション機が開発された。いずれも作中で目立った活躍は少ないが、タンク型モビルスーツはなぜか胸が躍る。今後も、タンク特有の意外な強さや弱さを期待したいものだ。