オットー・ミタスにマリュー・ラミアスも…歴代『ガンダム』で“苦労が絶えなかった艦長”たちの画像
『機動戦士ガンダムUC』Blu-ray BOX(バンダイナムコアーツ)
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 個性的なパイロットが多く登場する『ガンダム』作品。その個性に振り回され、発生するトラブルの受け皿となっているのが、パイロットが所属する戦艦の艦長たちである。

 今回は、不遇な扱いを受けがちな艦長たちへせめてもの労いの気持ちを込めて、苦労が絶えなかった艦長を数人ピックアップして紹介しよう。

■立場によるつらさがあることも理解してあげよう「オットー・ミタス」

 まずはじめに「機動戦士ガンダムUC」より、地球連邦軍ロンド・ベル隊所属の戦艦、ネェル・アーガマの艦長を務めたオットー・ミタスを紹介しよう。

 艦長でありながら頼りない性格のオットーは、副長のレイアム・ボーリンネアに主導権を奪われがち。おまけに部下からの人望もイマイチといった立場にあった。

 バナージとユニコーンガンダムがネオ・ジオン軍に回収され、救出作戦のブリーフィングで上層部の保身とも思える理不尽な意向を聞いた際には、一人席を外してエレベーターの内壁を殴る蹴る、積もりに積もった不満をあらわにした。

 特殊部隊エコーズに所属するダグザたち大人の理屈に頭を悩ませるバナージに対しては、温かい紅茶を差し出し、立場を理解してやってほしいと優しく諭すといった面倒見のいい一面も。レイアムら部下からの意見に強く反発しないのは、自身の力不足を素直に認識しているように思え、上官らの理不尽な命令には人目につかないところでうっぷんを晴らすという、「成り行きで中間管理職の座に就いた常識人」のような悲哀が漂っているのだ。

 どの業界にも一人は必ずいる、立場によるストレスを抱えた苦労人とあって、曲者揃いの『ガンダム』シリーズの中でも多くの共感を集めたであろうキャラクターだ。

■なりたくて艦長になりたかったわけじゃない!「マリュー・ラミアス」

 続いて、『機動戦士ガンダムSEED』より、地球連合軍の戦艦・アークエンジェルの艦長を務めたマリュー・ラミアスを紹介しよう。

 元々は副長であったマリューだが、ザフトの急襲により本来の艦長を失い、艦長代理としてアークエンジェルの指揮を任されることになる。戦闘状態の中での突然の抜擢とあって、その重圧は計り知れないものだったことは想像に難くない。

 保護した民間人を含む寄せ集めのクルーでの運用だったため、マリューからしてみれば子守のような役割に回ることも少なくなく、キラがストライクで勝手に出撃した際には、子供相手に簡易的な軍法会議を開くなどの対応もしなければならなかった。

 人情味はあるものの今一つ軍人としての判断力に欠けるマリューは、生粋の軍人気質である勤勉な副長のナタルとたびたび衝突し、頭を抱える様子も描かれた。

 中立であるオーブ陣営についた後半でこそ、志を同じくする仲間たちと共にのびのびとその任を全うできているように見られたが、それぞれの向いている方向がバラバラだった物語前半のマリューの立場に自身がなったらと想像すると、胃がキリキリしてくるのは筆者だけではないはずだ。

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