■『仮面ライダー龍騎スペシャル 13 RIDERS』で黒田アーサーが演じた高見沢逸郎/仮面ライダーベルデ
2002年放送の『仮面ライダー龍騎スペシャル 13 RIDERS』に登場する「高見沢グループ」という巨大企業の総帥・高見沢逸郎を演じたのは、黒田アーサーさんだ。ちなみに、『仮面ライダー龍騎』本編には登場していない。
普段は温厚な性格を装っている逸郎だが、その本性は尊大で強欲。巨大企業を手中に収めてもなお欲望は尽きず、それ以上のものを手に入れるべく、モンスターと契約して仮面ライダーとなった。
作中では持ち前のカリスマ性を生かしてほかの仮面ライダー達を従えつつ、うまい立ち回りを見せている。彼の放った「生きるってことは、他人を蹴落とすことなんだ」「人間はみんなライダーなんだよ」というセリフは、ライダーバトルを本質的に表す言葉でありながら、私たちが生きる競争社会をも表した言葉に思えて印象深い。
指を鳴らすような変身ポーズにも、大人の貫禄と洗練された雰囲気がある。若干小物臭が漂う瞬間はあるが、不思議と惹き付けられる魅力を持ったおじさんライダーだ。逸郎を演じた黒田さんの醸し出す色気が、そのキャラをよりいっそう引き立てているようにも思える。
今回紹介した3名のほかにも、20年以上も続く平成・令和ライダーにはまだまだおじさんライダーがたくさんいる。
若いライダーは自分のなすべきことがまだはっきりせず、迷う姿が描かれるケースが多い。それに対しおじさんライダーはほとんどの場合、すでに進む道は決まっており、それゆえに若者とはまた違った葛藤を抱えている。そうした意味でも、おじさんライダーには若いライダーとは違う魅力があるのではないだろうか。