■ダブらないようコスモを燃やした『聖闘士星矢』のウエハース
最後に、1980年代当時『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた『聖闘士星矢』のウエハースを紹介しよう。
『聖闘士星矢』は地上世界の愛と平和を守るため、女神アテナに仕えるセイントたちがそれぞれの名を冠する星座を模した「聖衣(クロス)」を身にまとい、邪悪な存在に立ち向かう物語である。
今でも数多くのグッズが販売されている『聖闘士星矢』だが、1980年代はおまけシールブームの流れに乗るように、同作品のウエハースが発売された。
こちらのおまけのシールは『ビックリマン』のシールより少々縦長で、デフォルメされることなく原作そのままのデザインで全身を描いたものとなっていた。数多くのキャラクターが登場する作品のため、現代で言うところの「推し」キャラを獲得するために躍起になっていたファンも多かったことだろう。
ほかのおまけシールでも見られた2重構造の仕掛けを採用しており、1層目のシールには「聖衣」、2層目にはタイツ姿のキャラが描かれたデザインになっていた。普段あまり見ることのないタイツ姿を見られることもあり、ファンにはたまらない仕掛けだっただろう。
世間を騒がせるほどの話題にはならなかったようだが、『聖闘士星矢』ファンのハートを掴んだお菓子として記憶に残っている人も多いと思う。
当時のおまけシールは子どものハートを掴むために趣向を凝らし、シールにさまざまな仕掛けがなされていた。残念ながらそのどれもが次々と終売になってしまったが、当時の子どもたちの青春に花を添えたことは紛れもない事実である。
こうして当時を懐かしむことができる歴史の一部を築いてくれただけでも、当時のメーカーに向けて感謝の意を評したい。