『あっぱれ大将軍チョコ』に『ラーメンばあ』80年代キッズのハートを掴んだ懐かしの“シールつきお菓子”3選の画像
『80年代オマケシール大百科』(いそっぷ社)

 さまざまな人気作品とコラボし、幅広い層から今も愛され続ける『ビックリマンチョコ』。大ブームとなった悪魔VS天使シリーズが発売された1980年代はおまけシール界の覇権を争って、さまざまなお菓子が発売された。今回は、当時の子どもたちのハートを掴んだ、知る人ぞ知る“シール付きのお菓子”を3つ紹介したいと思う。

■不思議な仕掛けで子どもたちを虜に…『あっぱれ大将軍チョコ』

 まずはじめに、1987年にロッテより発売された『あっぱれ大将軍チョコ』を紹介しよう。

『ビックリマン』の生みの親であるロッテの反後四郎が、『ビックリマン』と同時期に手掛けていたおまけシール付きのお菓子で、全5弾のシリーズで展開されたものだ。
『ビックリマン』ではキャラクターが天使と悪魔の勢力に分かれていたのに対し、『あっぱれ大将軍チョコ』は幕府軍と朝廷軍に分かれていた。

 漢字表記のキャラクターが多く、和のテイストを重視したラインナップとなっていた。また、光沢が異なるなど『ビックリマン』で見られたレア度の違いによる明確な住み分けがないため、自分のお気に入りキャラクターを愛でやすいといった特徴も持ち合わせていた。

 加えて、『ビックリマン』と同様、「グリーンハウス」がデザインに携わっていたこともあり、子どもたちに親しまれやすく、発売直後から瞬く間に人気商品となった。
『あっぱれ大将軍チョコ』の唯一無二の特徴といえば、液晶インクを使うことによるデザインの変化である。幕府軍のキャラクターは温めると絵柄が変わり、朝廷軍は冷やすと絵柄が変わるという特徴を持っていた。

 温度の変化で2種類の絵柄が楽しめるというこの特徴は、子どもたちにデザインの変化を楽しむという新たな遊びの要素を与えたのだ。すでに『ビックリマン』という人気コンテンツがあるなか、子ども心にストレートに突き刺さる商品を開発したロッテのアイデアには脱帽である。

■『ビックリマン』派との対立もあった?『ラーメンばあ』と『ガムラツイスト』

 続いて、おまけシール界のなかでも、ひと際壮大な世界観で物語が展開されていた『ラーメンばあ』と『ガムラツイスト』を紹介しよう。

 1987年にベルフーズ(現:クラシエフーズ)より発売された『ラーメンばあ』は、ベビースターラーメンを棒状に固めたようなお菓子に、プロレス団体の抗争を描いた「覆面レスラー軍団抗争シール」がおまけとしてついていた。

 キャラクターのステータスの違いを利用して、カードゲームのように遊ぶことが可能で、シールをめくるとキャラの強さが変わるとともにまったく違ったデザインになる仕掛けが施されていたのが特徴だ。

 その後、カネボウ食品(現:クラシエフーズ)より発売された、イチゴ味のガムの『必殺ガムラツイスト』。こちらは第2弾まで『ラーメンばあ』と同じラインナップのおまけシールが封入されていたが、第3弾から世界観を同じにしたまま物語が分岐していく。

『ラーメンばあ』は地球上のレスラーたちの抗争、『ガムラツイスト』は宇宙で異星人との抗争を描くという違った物語が展開されていたが、なまじ世界観が同じだったために、当時の子どもたちのお財布事情に大打撃を与えたことは言うまでもない。両シリーズ合わせてキャラのデザイン数はおまけシール界でもトップクラスのものとなり、ダブったシールのトレードも頻繁に行われていたそうだ。

 やがて物語は合流し、各軍が同盟を組んだ総力戦へと発展。それまで懸命に物語を追いかけてきた子どもたちにとって最大の胸アツ展開となったのである。

 アニメ化までなされた両シリーズは、『ビックリマン』とともに当時のおまけシールブームを第一線で牽引し支えた、歴史の立役者であると言えるだろう。

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