■インパクトの勝利!? 意外な人気を勝ち取った『沙羅曼蛇(サラマンダ)』の“ゴーレム”
最後に紹介するのは、『グラディウス』の続編として発売された『沙羅曼蛇(サラマンダ)』(コナミ 現:コナミデジタルエンタテインメント)より、サラマンダ軍の生物兵器ゴーレムである。生物兵器と言いつつ、その見た目は完全にヒト科の脳。これを“生物”と言い切るのは、我々人間の認知機能ではいささか難しいものがある……。
ゴーレムは触手やら細胞膜やらが大量に襲ってくるステージ1のボスで、武器で細胞の壁に穴を開けながら進んだ先にある、これまた細胞の壁の中から気持ち悪く登場する。登場ステージから登場シーンまで、何から何までグロテスクが極まったボスだ。ファミコンの時代に、ディテールに至るまで完全に描き切ったこだわりのグラフィック、ぜひ実際に見てほしい。
一般的にゴーレムというと『ドラクエ』シリーズのあの形を連想するし、なんならほかのファンタジー作品でも土人形として登場することがほとんど。しかし、当時の『グラディウス』のプレイヤーに“ゴーレム”と言ったら、一番に思い浮かぶのはコイツである。
作品ごとに見た目が少し違っていたりするが、パッと見てそれと分かるインパクトは健在。ちなみに『沙羅曼蛇2』では、大小さまざまなゴーレムがひとかたまりの集団となって登場する。もう二度と目にしたくないトラウマもの……かと思いきや、このゴーレムは『沙羅曼蛇』以降のシリーズ作品はもちろん、シリーズ外の作品にもたびたび登場している。終いには遊戯王カードにまでなってしまったという、一部のファンに妙な人気のあるキャラである。
どうやら、その不気味さよりもインパクトのほうが勝ってしまったらしい。今後グッズが登場しても不思議ではないし、何ならちょっと欲しいかもしれない。
なぜ、“脳”ってあんなに不気味なイメージがあるのだろうか。しかしある意味神秘的なそのビジュアルに魅せられ、制作意欲に火がついてしまったクリエイターの気持ちも分かろうというものだ。
とはいえ、“巨大な脳が意思を持って人類に牙を向く”なんてSFの世界での話。たしかに人工知能は我々の生活にずいぶんと身近にはなったけども、それはプログラムであって、脳そのものの見た目をしてるわけでもない。
ところで皆さんは、2021年の8月にドイツの研究チームが発表した、“目がある人工脳”を作り出すことに成功したという論文をご存じだろうか? ゴーレム……まさかな……。