誰もが一度は、人体模型なるものを目にしたことがあるだろう。あれを見ると我々の体にたくさんの内臓があることを実感できるわけだが、なかでも“脳”は抜群にインパクトが強く「“脳”をそれ単体で作品に登場させてしまう」ことが許されるほど、存在感のあるパーツである。“心臓だけ”でも“肝臓だけ”でもラスボスにはなれないが、“脳だけ”ならイケてしまうのだ。
今回は1980年代のファミコンの時代に敵キャラとして登場し、さらには作中でも割と重要なポジションを担っていた“栄誉ある脳たち”を紹介したいと思う。
■シリーズ恒例!? 脳だけの敵といえば『グラディウス』の“マザーコンピューター”
“脳だけの敵”と言えば真っ先に話題に上がる、『グラディウス』(コナミ 現:コナミデジタルエンタテインメント)のマザーコンピューター。最終ステージとなる要塞ゼロスの最深部に鎮座する巨大な人工知能だ。本体からは神経らしきものが上下に3本ずつ伸びていて、それぞれが床と天井と繋がっている。
当時としては斬新なステージ背景と世界観、多種多様なギミックで人気を博した『グラディウス』シリーズの象徴ともいえるラスボスである。とはいえ、動きもしなければ攻撃もしてこないし、放っておいても勝手に自壊してくれる。敵というよりはオブジェクトのようなもので、ステージの最後を飾る演出としての印象が強い。
以降、この“敵の中枢にある脳を破壊してゲームクリア”という演出は、『グラディウス』シリーズの慣例に。代々ラスボスには“何もしない脳”が配置されるようになった。
■脳は電気羊の夢を見るか?『メトロイド』の“マザーブレイン”
続いて、『メトロイド』シリーズ(任天堂)のマザーブレインだ。
物語の舞台・惑星ゼーベスの中枢で要塞を管理する人工知能で、見た目は容器に入った脳。さまざまな機器と繋がっていそうなケーブルや、トゲらしきものが多数生えているのも特徴だ。近年では、大脳の中央に大きな眼球のようなものが描かれたデザインで通っているが、初代『メトロイド』では脳というより牙が生えた芋虫のように見える。
もとは鳥人族によって宇宙平和のために開発され、銀河の平和を一身(?)に担ってきたマザーブレインは、主人公・サムスにとっても育ての親のような存在だ。
ところが優秀すぎる学習機能を持つがゆえに、いつしか人間に近い精神構造を持つようになってしまう。その結果、制作者である鳥人族から“銀河の守り手”としての使命を託されたサムスに嫉妬し、自らを必要としなくなった鳥人族を見限り、ラスボス街道をまっしぐら。
最終的には、スペースパイレーツの親玉として宇宙を征服しようと企むまでになったマザーブレイン。世界で最も“ラスボスをやってる脳”といえるかもしれない。